昨日、知り合いからのお誘いがあり、神保町の東京堂書店で開催された林望さんのトーク&サイン会『私とイギリスとの邂逅』に参加した。
1991年に『イギリスはおいしい』のエッセイでベストセラー作家となったリンボウさん。個人的には、あの本っきりご無沙汰していたのだが、直接話が聞けるとなれば、行かなきゃならんでしょう。
というわけでお話をきいてきた。
エッセイが面白いように、お話も上手。
慶応大学文学部国文科出身のリンボウさんが、なぜ研究のためにイギリスに行くことになったのかと、そこらあたりから話は始まった。
リンボウさんに言わせると、「神の見えざる手」が働いたとしか思えないという話。
慶応の先生になりたくてなりたくて、何回もチャンスがあったはずなのに、すべてうまくいかなかった。
蹉跌に蹉跌をかさね、落胆の日々を送っていたところに、イギリス行きの話が持ち上がった。
そしてイギリスに行くとなった途端、運命の輪が回り始めたのだ。
それからは、何をやっても幸運に恵まれる。
「わたしはイギリスに行くようになっていたのでしょうね。慶応の先生になろうとしても事はうまく運ばなかった。イギリスに行くことに決めると、すべては上手く流れる。そこには『神の見えざる手』の働きがあったのだろうと思います」
リンボウさんは1年のイギリス生活の後半をケンブリッジ大学で過ごすのだが、その下宿先は、『グリーン・ノウの子どもたち』を書いた作家ルーシー・M・ボストンのマナーハウス。ここはグリーン・ノウの物語の舞台となったところ。
その屋敷の、当時の記憶にある見取り図をもらうことができ、なかなか楽しい思いをして帰ってきたのだ。
ちなみにこの講演会は、東京堂出版から発売される林望著『イギリスからの手紙』の発売を記念して行われたもの。
イギリス留学当時、イギリスから家族につづった100通もの書簡を本にまとめている。