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長井さんは先進国首脳サミットや軍縮会議などの政治・外交の第一線の舞台、2020年東京オリンピック招致などで活躍する超ベテラン同時通訳者。
何しろ70歳という年齢で、第一線の最も重要な立ち位置にいるのだから、すごいというほかはない。
英語を日本語になおすときの、独特の翻訳文めいた感じは一切なく、まるで日本人が喋っているように、わかりやすく、ストンと脳に収まる言葉に置き換える。
英語に訳すときも、まるで、その人が話しているかのようにぴったりの表現で置き換えていく。
話す人の伝えたいことや、人柄までもが伝わるような通訳。
ときには、話者と同じ迫力で、身を乗り出すように、手振りをつけて通訳する姿。
仕事を依頼してきた人々は、長井さんの仕事に感謝し、リスペクトする。
だから日本・世界の要人たちが、通訳に長井さんを指名してくるのだ
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仕事ごとに、毎回さまざまな分野の専門用語に向き合わなければならないのだが、資料をもらうと、その仕事用の単語帳をつくる。
辞書を引く。
専門用語だけでなく、やさしい言葉でも、ニュアンスを出すためにどう表現するのがよいのか、考える。
睡眠時間が3時間ということもしばしば。
人間が魔術を身につけるには、それなりの時間と労力・努力を注ぎ込む必要があるってことだ。
心に残ったのは、福島県浪江町の町長が復興に向けての会議で海外の人たちに話す原稿を、どう訳すか考えているシーン。
「ふるさと」に戻りたいの「ふるさと」をどう訳すか。
ホームタウンと普通は置き換えるのだが、浪江町の場合、単にホームタウンというのではニュアンスが伝わらない。
そこで、namiechou of our homeという言葉を選んだ。
なんだかジワッとくる感じ!
話す人の思いを的確に伝える努力と準備。
これがプロなんだと思った。
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「もうちよっとわかりよく、すんなりと耳に入りすとんと心に落ちるようなそういう訳ってないものかなと、常にわたしは探したい。改善しようがないなんてない。言葉には際限がないです」
自分のやりたいことに邁進するパワー。
いいなあと思った。