『P.L.トラヴァース』(現代英米児童文学評伝叢書8/森恵子著/KTC中央出版)を読んでいて知ったのだけど、メアリー・ポピンズのように、日常生活にファンタジーが入り込んでくる物語を“エブリデイ・マジック”と言うらしい。
「用語として成立したのは早くても1970年代末期、あるいは1980年代中期以降と推測される」(by ウィキペディア)そうだから、トラヴァースが『メアリー・ポピンズ』を執筆した時点では、そんな分類はなかったのだけど。
ふーん。
『ドラえもん』や『となりのトトロ』だってエブリデイ・マジックだな。
『指輪物語』のように異世界のファンタジーをハイファンタジーと言うのだそうだ。
で、考えた。
評伝を読んでしっかり参考にしているくせに、こんなことを言うのもなんだけど、こんなふうに分類、評価、系統付ける作業は、せっかく出された美味しい料理を、成分分析しているようなものではないかなって。
物語は読んで、感じて、面白がって、考えて、また読んで、また楽しんで、記憶して、人に語って…
という対しかたが一番いいと思う。
エブリデイ・マジックと分類・定義されて、物語の香りが少しばかり消しとんだ気がするのは、こちらの懐が小さいのかな?
自分の好きな物語を、とやかく分類・定義されるのはイヤだなあ…。
(もっとも、森恵子さんは本の中で「ポピンズ・シリーズは、エブリディ・マジックのなかでは、魔法もスケールも大きく、この形式には見られない神秘性もそなえているのである」と述べている。評伝自体はよく書かれているし、とても参考になります。)
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