『精霊の守り人』に始まる上橋菜穂子さんの「守り人シリーズ」が、『天と地の守り人』(3巻)で完結しました。
文庫の『精霊の守り人』を手にとって以来、文庫版の出版を待って読みついできたので、全10冊を読み終わるのに、ずいぶんと時間がかかりました。
だけど、待ち続けて、期待を裏切られることは一度もなかったです。
子ども時代のチャグムに始まった物語は、『天と地の守り人』で、さまざまな人々のストーリーが入り混じりながら、着地点を見出します。
まったく、いろんな人の物語が横糸、縦糸でつながっているのに、それでも揺るぎのない物語の太い流れがある。
上橋菜穂子は天才である!
実にそう思います。
時間の波に洗われて、未来の時代に生き残るのは、日本では宮崎駿と上橋菜穂子の2人だろう、きっと、と思うのです。
ひとつわかったこと。
上橋菜穂子は今風のラブストーリーは苦手である。
そんなことをいうけど『孤笛のかなた』という美しいラブストーリーがあるじゃないですか?
そうなんですねぇ。
でも、あの物語は、全体がピーンと張った違う次元の物語のようです。
透き通った詩の世界のようです。
守り人シリーズも異界の物語なんだけど、バルサとタンダは大人であり、現実の人間でもある。
あれっ、夫婦だったの?
一緒に暮らしてるんだからわかれよ。
って、子どもでなくても、わかりづらい。
だから、きっと上橋菜穂子さんは大人の男女の恋の物語は苦手なんだろうなと思うわけです。
まあ、『守り人シリーズ』に現実的なラブストーリーは似合わないかもしれないので、それはいいとしましょう。
そのうち、こんな感想を打ち消すようなラブストーリーを書くかもしれないし。
偕成社から「守り人シリーズ」のガイドブックが出て、その中にバルサとタンダのショートストーリーが、書き下ろしで掲載されているそうです。
その短編に期待しつつ。
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虹いろ
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