外国の小説もあるわけだから空間と、そして時を経て残っていく読み物。
なかなか生き残りはむずかしいのではないか…。
いつまでも読み継がれる物語は、真実を語り、人間の善意を信じ、美しい描写のモチーフがある、人の心を感動させる力をもつもの。
つまり、もともと読み継がれる必然性をもって登場した小説だと思います。
フランスの小説家、ジョルジュ・サンドの『愛の妖精』も、そんな作品の一つとして一押しです。
ジョルジュ・サンドは生誕200年ということで、去年かなり取り上げられた作家です。
作曲家のショパンの恋人としても有名です。
じつは、ショパンばかりでなく、詩人のミュッセ、作家のメリメらとも一時は深い間柄だったという恋多き女性。
男爵夫人だったにもかかわらず、27歳で小説を書き始め、離婚して自立の道を選びました。
そして、71歳で無くなるまで“機械仕掛けのように”書きまくった作品は100篇を超えていたという多作の人でした。
そんなジョルジュ・サンドの作品群のなかで、いまでも愛されているのが『愛の妖精』です。
そろそろ忘れ去られかけていたのが(わたしは実にもったいないと思っていたのでした)、今年になって学習院大学の篠沢教授の訳で、中公文庫にお目見えしました。
昔、旺文社から出たものの改訂版だそうです。
篠沢教授といえば、今は昔の人気番組「クイズ・ダービー」の回答者という印象が強いです。
でも、さすが仏文学者。仕事もちゃんとしてたんですねー。
訳文はなかなかのすぐれものです。
フランスのベリ地方の田園の風物に浸ることができ、読み進むうちに、うれしくなってくるはずです。
どんな内容かは次回にさらっと書かせてもらうとして、まずはアマゾンあたりで検索してみてはいかがでしょうか。
(ちなみに、いちばん売れているのは、岩波文庫版の『愛の妖精』らしいですよ。)
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