サラ☆の物語な毎日とハル文庫

先進的編集者・出版人のエッツェルがジュール・ヴェルヌとタッグを組む①

↑ 東京都庭園美術館。旧朝香宮邸

@サラ☆

 

4月の初め、ソメイヨシノが満開の時期に、東京都庭園美術館に行ってきた。

お目当ては『奇想のモード』展だったけれど

そのほかに、2018年に開催された『鹿島コレクション フランス絵本の世界』の

カタログを見せてもらうという目的も。

 

というのも、この展覧会、「フランス絵本の世界」がテーマなのに

ジュール・ヴェルヌが児童文学の一翼をになうキラキラした存在として

目立っていたからなんだけど。

 

あとになって、カタログを買っておけばよかったと何度か悔やんだ。

そこで今回、久しぶりに庭園美術館に行くので、チャンスとばかりに

「カタログを見せてもらいたい」とウエルカムルームに申し込んでおいた。

 

カタログの解説を読むと、どうやら

編集者で出版人のピエール・ジャン・エッツェルという人物が、

フランス児童文学界で大切なカギを握っていることがわかってきた。

 

こういうことだ。

出版界に入って間もない、若い編集者のエッツェルは

当時『ガリバー旅行記』『ラ・フォンテーヌ寓話』の挿絵で大きな成功を収めたばかりの

挿絵画家J・J・グランウィルに一つの企画を提案する。

 

動物を主人公にした風刺的な読み物をつくるのだが

まず当時文学界で活躍していたバルザック、ミュッセ、ジョルジュ・サンド

などの有名作家に、タイトルかあらすじを決めてもらう。

つぎに、グランヴィルがそれに基づいて自由に挿絵を描く。

そして、その挿絵をもとに、作家たちがストーリーをつけていくという企画。

 

挿絵を主体にした物語本!! グランヴィルはこの斬新な企画に触発されて、

頭は動物で、首から下は人間という動物画を創造し、

大量の挿絵を書きまくった。

出来上がったのは『動物たちの私生活・公生活情景』という挿絵本で、

当時のフランスで大ヒット。

解説を書いた鹿島茂氏いわく、

「グランヴィルの挿絵本の代表作になっただけでなく、

挿絵本の歴史に残る大傑作となった」そうだ。

 

エッツェルはこの本が成功した翌年1843年に独立し

エッツェル書店を起こす。

ところが、1851年にナポレオン・ボナパルトのクーデターに遇うと、

共和主義者のエッツェルはベルギーに亡命するはめに。

1860年に大赦により帰国してからは、

2度と政治に関りをもたないよう、エッツェル書店を児童書専門の出版社に変えた。

 

さて、ここからジュール・ヴェルヌがいよいよ登場するのだけれど、

長くなるから、つづきはまた明日、

ということにしたい。(あらッ!?)

 

今日は春のすがすがしい1日。

陽射しがやわらかい午後のひととき。

ウッドデッキでコーヒーを飲みたいな。

この記事を読んでくださった方も、ぜひ素敵な午後のひとときを!!

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