サラ☆の物語な毎日とハル文庫

ヒッチコックの“蝉”

ヒッチコックの映画に“鳥”というのがあったのを知ってますか?
わたしは映画も見たし、高校か大学の英語の購読テキストで、ダイジェストになった本も読まされたので、あの怖さは、まじまじと記憶に残っています。

もちろん、ヒッチコックは“蝉(セミ)”という映画はつくっていません。
ただ、わが家の周辺がヒッチコックの“蝉”状態なのです。

わが家の前には、たまたま7、8メートルもあろうかという欅(ケヤキ)並木がずーっと続いており、ヨコのほうには桜並木が。
そこに、今年はアブラゼミが大量発生。
きっと数百匹はいるにちがいないアブラゼミが、一日中ジージー鳴いています。
あのでっかいセミです。ミンミンゼミのように小さくないし、ミンミンと可愛く鳴くわけでもない。
ジージーと鳴り響いて、下を歩くとまるで轟音がおそってくるよう…。

そして恐怖なのは、夜遅く廊下に出る用事があるときです。
ドアを開けて一歩廊下に出たとたんに、廊下の電灯に引き寄せられてきたセミに、胸ぐらを捕まれる。じゃなくて、胸ぐらを体当たりで直撃されるのです。
「ヒェーッ!」という恐怖の叫び声が、廊下に響き渡ります。
だって恐いんだから、仕方ありません。

わが家の廊下側の窓にセミがとまってジージーなかれた日には、睡眠妨害、すごい迷惑です。

そして今日、夏バテして動きの鈍くなったうちの猫が、わたしがベランダの窓を開けたとたんに、わたしのヨコをさっと、まるでチータのように目にもとまらぬ速さですりぬけていきました。
ベランダになぜか侵入していたセミを襲撃したのです。
そして、あろうことか口にくわえて、部屋の中にさっともどってきました。
「ううっ」
わたしは言葉になりません。

でも、部屋の中で殺戮が行われ、セミがバラバラになってしまったら、それこそたまりません。
あわてて、そこらへんにあった洗濯物で、猫がセミを転がしたスキにセミを包み込み、ベランダに放り投げて、網戸を手早くしめたのでした。

猫は、呆然としてベランダに逃れたセミを目で追い、それからずっと、未練たらしくベランダの網戸の前に張り付いています。

ああ、もうこんな状態、たくさんです。
夏がいつ終わるのか、指折り数えている今日この頃です。

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