大切な飼い猫が死んで、心の中で泣いていた一昨日のこと。
一週間、雨が降り続いたあとで
久しぶりにおひさまが照ったものだから
洗濯ものを干していた。
そうしたら、どこからともなく蝶があらわれて
わたしの周りを飛び回り、なんとまあ、
洗濯ものを持ったわたしの二の腕にとまったのだ。
黒い翅に白い模様。
あとで調べたらゴマダラチョウらしい。
私の目から20センチのところに蝶がいる。
その蝶は、ゆっくり翅を上下させ、
ぐるぐる渦巻いた口吻を静かに伸ばして、また巻き込んだ。
目の前のいるのだから、よく見える。
それからふっと飛び立つとわたしの周りをヒラヒラしてから、
屋根のうえに飛んで行った。
その時間はほんの30秒ぐらいだと思う。
ありえないと不思議に思った。
花畑にいるわけでもないのに、一匹の蝶があらわれて、腕に止まって
しばしくつろいで、飛び去る
きっとあの蝶は、亡くなったピッポからの挨拶じゃないかな。
すぐにそう思った。
姿はもうないけれど、わたしはここにいるのよ。元気だしてね。
そういう知らせじゃないかな。
そう考えると、すごくうれしくなった。