じつに、待つこと6年間。
かの養老先生も97年11月にはウィングフィールドの『フロスト日和』に言及され、98年1月には、ウィンズロウの『仏陀の鏡への道』に触れて、両者を比較されています。
そして、ウィンズロウの作品は「ユーモアの効いた楽しい作品という分類になろうが、その点では『フロスト警部』のシリーズのほうが私は好みである。どうも英米では、ユーモアの感覚が違っている。私はイギリスのほうが好きだが、これは個人の好みだから、押しつけるつもりはない」と述べておられるのです。
いずれにしても、97年、98年のころは、どちらのシリーズの翻訳者もマメに働いており、間をおかずに新作を届けてくれていたのでした。
それから、どちらのシリーズも1作ずつ刊行した後、長いブランク。
読者は長いこと待ちぼうけ。
そしてやっと出た新作は、ああ、シリーズものの宿命なのか…。
ドタバタ過ぎやしませんか?
このシリーズの真骨頂である哲学的な部分が、なさ過ぎではありませんか?
そういえば、シリーズの合間をぬって出版されたノンシリーズ『ボビーZの気怠く優雅な人生』を読んだときは、少々拍子抜けがし、『歓喜の島』にいたっては、途中で読むのをやめてしまったことを思い出しました。
それだけにニール・ケアリー・シリーズを待ち焦がれていたのに、作風が変わったのか、作者自身の人生観がずれたのか、力量が落ちたのか、精神的な緊張感を失ったのか、読み終えて、ちょっとがっかりしたのでした。
シリーズものって、どうしてこうなっちゃうんだろう、とため息。
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