ロンドンのパディントン駅のプラットホームで
一匹のクマが古ぼけたスーツケースの上に座っていた。
コートには「このクマをよろしくお願いします」と書かれた札がついていた。
伯母さんによって、ペルーから密航者として送られてきた
マーマレードが大好きなクマ。
親切なブラウン夫妻がそのクマを自宅に連れ帰り、
パディントンと名前を付けて同居するところから、
物語は始まるらしい。
「らしい」というのは、この本を読んでいないからだ。
なんだかしらないけれどスルーしてきた。
ペギー・フォートナムさんが挿絵を描いたクマのパディントンの本は
まえから知ってるのだけど。
でも、本を読んだことがなくても
「くまのパディントン展」は心から楽しめる展覧会だった。
なんと言ったらいいんだろう。
パディントン展は、パディントンを愛する人たちでいっぱいだった。
子どものころに、人によっては大人になってから
パディントンの本を手に取って、その物語を楽しんで
幸せな時間を過ごした。
そういう人たちが、教養とか文化とかの堅苦しい言葉を抜きに
自分が楽しむために、もう一度幸せな時間に触れたいと思ってやってきた。
んじゃないかなーと思えて、こっちまで楽しくなる。
パディントンの挿絵は、イラストレーターが何人か変わっているけれど
どの絵も愉快さにあふれている。
きっと作者のマイケル・ボンドさんがそういう人だったのかな。
イラストレーターのアイバー・ウッドさんが新聞に連載した
パディントンの4コマ漫画なども展示され、
個人的に楽しんだ。
パディントングッズのコーナーも人だかり。
みんな幸せのお裾分けを買っているんだろうな…
なんて、そういうフワフワした気持ちになれる
パディントン展でした。
展覧会は6月25日(月曜)まで。
会場は渋谷Bunkamura ザ・ミュージアム。