ついこないだ、Googleのロゴが藤田嗣治の絵になっていて
そこから平出隆の『猫の客』海外版の表紙に
藤田嗣治の「テーラーの猫」が使われているのを知った。
その絵が可愛い‥‥‥
平出隆の『猫の客』は、読んでないから残念なんだけど
出版社の説明によると
はじめ“稲妻小路”の光の中に姿を現したその猫は、隣家の飼猫となった後、庭を通ってわが家を訪れるようになる。いとおしく愛くるしい小さな訪問客との交情。しかし別れは突然、理不尽な形で訪れる。崩壊しつつある世界の片隅での小さな命との出会いと別れを描きつくして木山捷平文学賞を受賞し、フランスでも大好評の傑作小説。
という内容の本らしい。
前置きが長くなったけど、それで三津田さんのことを思い出した。
三津田さんのところにも、野良猫が居ついていたっけ。
「最近、縁側で人相の悪い猫を飼っています」
というのは三津田さんからお嬢さんへのハガキの文面。
たまたま訪問したときに、縁側に猫がやってきて、
ゴロゴロ身づくろいしているところに出くわした。
灰色の縞々の猫だった。
親子二代にわたり、三津田さんの縁側を
居場所の一つにしていた。
いつも煮干しを、猫用に用意してあった。
三津田さんの嬉しそうな穏やかな笑顔を思い出します。
「名前は?」とうかがうと、
「『名前はまだない』のままよ」
とおっしゃっていた。
三津田さんらしい、と思った。
愛おしいとは思いながらも、一定の距離は保つのだ。
三津田さんご自身としては、必要以上にベタベタしない。
来るものはこばまず、去るものは追わず。
それでも何年か、猫とのさりげなく愉快な交流はつづいたようだった。
懐かしい三津田さん。
あちらの世界でも、お元気かな。