サラ☆の物語な毎日とハル文庫

ヨハン・テリオンの『冬の灯台が語るとき』を読んだ

@サラ☆

 

スウェーデン生まれの作家、ヨハン・テリオンが書いた

エーランド島を舞台にしたシリーズ第二弾。冬篇。

前作の『黄昏に眠る秋』はスウェーデン推理作家アカデミー賞、

英国推理作家協会賞を受賞し、世界20か国以上で刊行されたそうだ。

これがヨハン・テリオンのデビュー作というから、

ものすごい力量の作家だと思う。

 

エーランド島に移住し、ウナギ岬の屋敷に住み始めた一家の物語。

家族の一人が事件に巻き込まれ、亡くなってしまう。

 

この本も、前作と同じく、もう一つの物語が間に挟まれて

つづられていく。

冒頭は、そのもう一つの物語で幕開け。

一家の主婦、カトリンの母親によってつづられた岬の屋敷の物語だ。

1746年の冬。

いきなり、冬の嵐とドイツ船の岸辺近くの遭難の話。

双子の灯台を建築中の職人たちが、

ブリザードにあって難破した船の人々を助けようとして

結局一人も救えず、積み荷だった山ほどの木材が残されたという話から。

その木材を使って建てられたのがウナギ岬の屋敷というわけ。

 

ウナギ岬の屋敷にまつわる亡くなった人たちの小さな物語と、現実の事件と。

 

それは死者たちのクリスマスという形で合流し、

大団円を迎える。

 

と言っても、なんだか抽象的過ぎて、わけがわからないと思う。

なので、ハヤカワミステリの裏表紙に書かれた概略をご紹介したい。

 

★エーランド島に維持融資、双子の灯台を望む屋敷に住み始めた

ヨアキムとその家族。しかし間もなく、一家に不幸が訪れる。

悲嘆に沈む彼に、屋敷に起きる異変が追い打ちをかける。

無人の部屋で聞こえるささやき。子供もが呼びかける影。

何者かの気配がする納屋……

そして死者が現世に戻ってくると言われるクリスマス、

猛吹雪で孤立した屋敷を歓迎されだる客たちが訪れる──。

スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀長篇賞、

英国推理作家協会賞インターナショナル・タガー賞、

「ガラスの鍵」賞の三冠に輝く傑作ミステリ。

 

前作の『黄昏に眠る秋』で大活躍した

老人ホームに入居しているイェルロフ・ダーヴィッドソンも登場し

いい味を出している。

彼のおかげで、物語に真実と落ち着きと、深みが加わる。

それからユーモアも。

いいなあ、イェルロフ。

 

この本を読んで、ヨハン・テリオンは悲嘆の描き方がうまいなーと思った。

ほんの短い物語でも、悲嘆がひしひしと伝わり、説得力と現実感がある。

それから、ヨアキムが最愛の妻を亡くして、悲嘆にくれる描写が

そうだよなー、ほんとにこんな感じだろうなと思わせる。

 

悲しみが切々と描かれ、死者にまつわる物語が説得力を増すのだ。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「ミステリー」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
人気記事