待ちわびていたキャロル・オコンネルの新作『ゴーストライター』
読みました!
今回の犯罪の舞台は劇場。
新作芝居の初演。一幕の途中で、観客が死ぬのだ。
そして、次の日も次の日も客席に死体が。
観客は事件に邪魔され、二幕目以降を観られない。
複雑な事件、複雑な物語の進行。
芝居に関わった人たちの数だけエピソードがあり、犯罪がある。
おまけにネブラスカで起きた古い一家惨殺事件がからんでくる。
ゴーストライターにより、芝居は刻々と台本を書きかえられるのだけど
そのストーリーが一家惨殺事件とそっくり同じなのだ。
現在進行形の連続殺人と過去の惨殺事件が折り重なる。
何がどうなっているのか?
一つの疑問には、必ず一つのエピソードの回答がみつかる。
それから、それぞれの登場人物にまつわるエピソード。
だから、数えてはいないけれど、一〇〇近いエピソードが錯綜するんじゃないかなー。
死因は?
誰が殺害に関わったのか?
ゴーストライターはいったい誰か?
この小説のなかで一番共感を得やすい
バグジーことアラン・レインズの物語はどうなる?
シリーズを通して語られる故ルイ・マコーヴィッツのポーカー仲間とのやりとりは?
今回興味深かったのは、このシリーズのヒロイン・マロリーと重罪犯罪課の刑事たちとの関わりだ。
マロリーはもはや昔のように孤立してはいない。
メンバーがそれぞれ、鑑識課主任の女性から、ボスの警部補、検視局長まで
マロリーの事件に興味をもち、頼まれるわけではなく、協力を買って出るのだ。
それぞれのプロ意識と、興味と、事件を解決したいという熱意から。
マロリーはどうやら、仲間に協力してもらう独特のやり方を習得したらしい。
その部分に納得し、小説の構成の複雑さのなかを泳ぎながら、結末までたどり着く。
疑問が一つ。
ミステリー読者は猟奇的な犯罪・死体でないと満足しない、と思われているのかな?
最初はほどほどの死体だったのに、だんだんとおぞましさがつのっていく。
いやいや、そんな刺激など求めてはいないのだけどなー。
もっとシンプルでかまわないのに。
マロリーの物語が読みたいだけなのだから。