7月5日(日) 利尻~稚内
利尻から稚内行きのフェリーは、午前11時と午後4時の2便しかないので、午後の便で渡ることにする。周囲50キロほどの利尻島をゆっくりと逆回りで2回ほど周回。180度違う利尻富士の景色が楽しめてなかなかよい。入江の岩場を封鎖してつくった自然水族館で、軽快に泳ぐアザラシ(冬場は稚内の動物園に移送されるらしい)などを見物。その近くで、摂った昆布を整理していたおじさんから、1000円分だけ昆布を買う。かなりの量だが、天然の昆布ではなく養殖の昆布だそうだ。天然昆布の採取解禁はもうしばらくしてからという。姫沼もなかなかよく、しばし、2人で昼寝。
帰りのフェリーも満員。甲板に設置してあるベンチはかなりの空きがあるのだが、みんな船室で早々と雑魚寝態勢でマグロのように横になっている。2時間弱だが、海を眺めているよりはこっちのほうがいいのだろう。
わしも荷物を置いて、みんなにならって部屋の真ん中に足を向けて横になる。カミさんは一般客と同じようにタラップから乗り込んでくるので、まだ姿が見えない。
と、横にいた男性連中が荷物を置いて、甲板にでていくと、すかさず、おばさん連中がどやどやと上がり込んできて、そこに横になろうとする。
「そこ、きますよ」
と言ってやる。
「は?」
とすっとぼけたふりをして、今度はちょっと向こうに置こうとする。
「そこも、おられるはずですよ」
「でも、どこもいっぱいで……」
とすねたように言う。
「空いているんじゃないですか?」と妙にしつこい。
確かにわしの横は空いているが、そこは今からやってくるカミさんの場所だ。
甲板のベンチはいっぱい空いてますよ、とよほど教えてやろうかと思ったが、そんなことは自分ですべきだ。無視して寝る。後でカミさんにきくと、通路側に座ったそのおばさんは、寝ていたわしをずーっと睨みつけていたらしい。きっと、自分も横になりたかったのだろうと思うが、こういうのは早く座った人の権利なのだ。その人たちは4~5人ほどのグループだったが、もし、その人たちが先に場所を取っていたら、7~8人分を他人無視で平気で使いそうな雰囲気をまき散らしていた。そういうのを感じたので、こっちもちょっと意地になった部分もある。
稚内ではまた「さいはて旅館」に泊まってもいいかなと思ったが、とりあえず違った場所にも泊まってみたいので市内のビジネスホテルにあちこち電話をしてみる。どこも満室だったが、4軒目で和室タイプなら空きがあるというので予約する。
南稚内駅に近いそのホテルは、地下にサウナ付の大浴場があったので、さっそく汗を流しにいく。
ロシア人らしい若い男性もいて、テレビ室で新聞を読んでいると、テレビの野球放送を観ていた日本人のおじさん2人が部屋をでたとたんに、じいっとこちらを見つめる。目が合うと、チャンネルを変えていいかと身振り手振りで訴えかけてくる。ロシア語などしゃべれないので、自分も相手に合わせて首を縦に振ってどうぞどうぞと答える。夜は、ホテル近くのなかなか雰囲気のいい居酒屋にいく。

利尻島・姫沼

利尻・アザラシ

利尻島の中で、利尻山1枚

利尻から稚内のフェリー

ノシャップ岬だったか