皆さん、こんにちは!
プロ研修講師・プロコンサルタント・中小企業診断士のあお先生こと青木公司です。
本日は「論点のすり替えに注意 TV局で行われる論点のすり替えによる印象操作の具体例」についてです。
論点のすり替えは、詭弁の一種で、本来なら議論するべき内容や対象が、いつの間にか別の内容や対象に議論にすり替わっている現象です。
印象操作とは、「相手が抱く自分たちや第三者たちへの印象を、自分にとって有利なものになるよう、情報の出し方や内容を操作すること」です。
これ、日常生活でも様々な交渉でも巧みに使われてごまかされます。
報道機関の報道でも巧みに使われているので注意が必要です。
先日、こんな報道があるTV局で行われました。
「ウクライナ侵攻が始まって1年、今から2年前に今日と同じようにある国連決議が行われました。
今日と同じようにウクライナ軍の即時撤退を求める決議が行われました。
アメリカなどを中心にほとんどの国が賛成しました。
反対はロシアとロシアに近いベラルーシなど7か国のみが反対。
ロシアに近い中国でも反対にまわれず、棄権したとこういうことがありました」
ちなみに、図表で
決議:ロシア軍の即時撤退を求める決議案(侵攻1年目)
賛成141か国(具体的にアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本をあげて)
反対7か国(具体的にロシア、ベラルーシ、北朝鮮を例示して)
棄権32か国(中国、インドを例示して)
ちなみにこの時点でも印象操作がありますがひとまず置きます。
「ところが、今日、国連で同じような採決があり、同じように日本を含めて大半が賛成にまわって採択されました。ところが反対ですが、ロシアの所にアメリカが入ってきています。北朝鮮もいます。ロシアの同盟国のベラルーシもいます。
さすがの中国も今回も棄権にまわっています。
まさかここまでずっとロシアに対して厳しい意見をしてきたアメリカがこういう動きをするとは思いませんでした。」
図表で
決議案:ウクライナ領土保全の決議案
賛成93票 日本、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダを例示して
反対票18か国 アメリカ、ロシア、北朝鮮、イスラエルを例示して
棄権65か国 中国、ブラジルを例示して
これは意図的な論点のすり替えと印象操作が入っています。
1. 論点のすり替え。
決議内容について2年前は侵攻1年のタイミングで「ロシア軍の即時撤退を求める決議案」、今回は侵攻から3年のタイミングで「ウクライナ領土保全の決議案」。
完全に論点が違うのです。
ロシア軍が侵攻から3年、東部と南部を制圧し、戦いが膠着状態にある中、恒久的な平和を考えれば、ロシアが譲歩するためにはウクライナの完全な領土保全は難しいと思う国がでてきてもそうおかしなことではありません。
2. 印象操作
(1). 賛成が大半という言葉
ウクライナ領土保全について大半が賛成と言っていますが賛成は93か国、反対は18か国、棄権が65か国です。
反対と棄権を合わせれば83か国にもなり、賛成が大半という表現は当てはまりません。 「採決に必要な有効投票のうち大半が賛成」ならまだ意味は通ります。
(2) 入れている国
例えば反対票に投じた国が18か国もあり前回、賛成から今回は反対に回った国も10か国以上あるのに、「アメリカ」と「イスラエル」のみわざわざ国名を例示しています。
アメリカ、イスラエルのみなんらかの意図をもって例示したとしか思えません。
実はこういう論点のすり替え、印象操作はかなり使われます。
注意しましょう。
※ なお、青木個人の決議に対する意見は上記、両方とも賛成です。
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