【文学少女】シリーズを知っていますか?
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ファミ通文庫から刊行されているライトノベルのシリーズなのですが、
この作品のメインキャラクターとして登場する「天野遠子(あまのとおこ)」という
キャラクターは、なんと文学作品を"食べる"のです。
比喩ではなく、物理的にムシャムシャ食べます。
読んでいた本のページをおもむろに破り、ページを口に運んで咀嚼。
そして、うっとりとした表情を浮かべて味の感想を述べるのです。
やっぱりギャリコは美味しい~~~!
ギャリコの物語は、火照った心をさまし、癒してくれる最上級のソルベの味よ。
喉にするりと滑り込んでゆく食感がたまらないわ。
文学作品を"味"で例えるのは面白いアイディアです。
シリーズを重ねるたびに、遠子さんがいろいろな本の感想を
"味覚"で表現してくれるのはとても魅力的です。
今回は【文学少女】シリーズで取り上げられてない文学作品をチョイスして
遠子先輩風に味覚で表現してみようと思います。
村上春樹
まずは、現代の文豪から。
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村上春樹の作品は、上質な「サンドイッチ」の味がします。
コンビニで売られてるようなヘナヘナのサンドイッチじゃなくて、"本物の"サンドイッチです。
どっしりとしたフランスパンの食感で、皮はぱりっとしていて、中のレタスはシャキシャキ。
ベーコンも肉厚で、噛むと肉汁がじわっと染み出るようなジューシィさ。
くどくなりそうなベーコンをフレッシュなトマトがほどよい酸味で包みます。
最後にジョッキのビールをあおったような、ガツンとくる苦みと爽やかさが締めくくります。
村上春樹の作品は、料理がよく登場します。
最新作の「1Q84」もそうですが、デビュー作の「風の詩を聴け」から料理が象徴的に登場する作品を
春樹は書き続けてきました。
よく登場する料理は「サンドイッチ」。飲み物だと「ビール」です。
春樹はサンドイッチをはじめとした料理たちを、本当に美味しそうに描写します。
というわけで、どストレートにサンドイッチとビールで春樹作品の味を表現してみました。
もちろん、遠子先輩は料理が出てくる作品ばっかり食べてるわけじゃないんですけどね。
それだともう例えじゃないでしょって。
まあ、最初ということでわかりやすいのから行った次第です。
司馬遼太郎
遠子先輩があまり食べなさそうな、歴史小説にいってみます。
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司馬遼太郎の作品は、素材の味が強調された素朴な味がします。
とれたての生の野菜をまるかじりして、野菜の味と一緒に土の薫りもほのかに
鼻腔をくすぐるような。かといって、まったくの無調理ではなく、
塩が少々まぶしてあったり、さっとゆでてあったりと、
素材の味の邪魔をしない程度には手が加えてあり、そこに奇妙なぬくもりを感じるのです。
司馬遼太郎の歴史小説は、登場人物の内面描写にあまり深入りしません。
小説なのだから、ある程度想像を膨らませて人物を描写してもいいと思うんですが、
司馬はあくまでも客観的事実をもとに、歴史上の人物を浮き彫りにする形で
人物描写をするのです。
時には司馬自身が、「こういう史実があるので、この人物はこういう性格だと思う」
というように解説者のように語りつつ、人物描写をするときもあります。
そのため、小説を読んでいるというよりは、評論や随筆を読んでいるような感覚に
おちいることもありますが、時には思い切って小説的展開に持ち込むこともあり、
この人は歴史家ではなく、小説家なのだと思い出します。
京極夏彦
ちょっと変わったところで京極夏彦を。遠子先輩読まなさそう・・・。
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京極夏彦の作品は、口に入れた途端、とにかくありとあらゆる味がします。
口のなかで目まぐるしく味の変わる、なにかどろりとした液状の食感が
すこし気持ち悪くもありますが、これがなかなかどうして、癖になるのです。
読後、どんな味だったのか印象に残りにくいので、同じ作品を二回三回と
味わい直したくなるのも不思議な感覚です。
京極夏彦の代表作「京極堂シリーズ」は、一応推理小説の体裁をとっていますが、
中身の7割くらいは、妖怪をはじめとする様々な民俗学的伝承のうんちくで埋められています。
物語の筋は比較的シンプルなのに、いたるところにちりばめられたうんちくのせいで
読後は、結局なんの話だっけ?もう一度読んでみるか・・・となることが多いです。
でも、この京極堂が語るうんちくが、それはもうクセになるのです。
なんというか、読んでて快感なんです。言葉に埋め尽くされる感覚がイイ!
他にもいろいろ味覚で語りたいところですが、疲れたのでこれくらいにしときます。
権利の関係上、遠子先輩が食べる文学作品は、古いものがほとんどになってしまってますが、
最近の作家の作品や、ライトノベルなんかを食べる遠子先輩も面白いかも!
と思う今日この頃です。
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