夏も終わりなので【AIR】の記事でも書いてみます。
毎年夏の恒例行事にでもしようかな。
以下に書く記事は【AIR】の重大なネタバレを含みますのでご注意ねがいます。
星の記憶の物語としての【AIR】
【AIR】といえば、一言で言うとどういう物語でしょうか?
「母と娘の物語」、「千年の因果の物語」、「空の少女を探す物語」、「観鈴ちんの物語」、
「ある夏の物語」、「不思議な少女たちとの恋愛物語」 ・・・。
いろんな要素があると思いますが、今回は「星の記憶の物語」としてのAIRに注目して
記事を書いていきたいと思います。
そのためには、まず物語に登場する「翼人」について知らなければならないのですが、
翼人の設定をよく覚えてなかったり、翼人ってなんだっけ?って方は以下の記事を読んでいただければ
ある程度はわかるかと思います。
【AIR】翼人の物語を追う
AIRにおいての「翼人」は星の記憶を受け継いで生きる種族であり、
最後の翼人であった神奈の持つ星の記憶が、輪廻によって観鈴に移りつつある
という状況が、AIR本編のメインステージとなります。
輪廻を繰り返す星の記憶のゆくえが最終的にどうなってしまうのか? という点に着目すれば、
AIRは「星の記憶の物語」であるとも言えるのです。
おもいでエマノン
【おもいでエマノン】というSF小説があります。
画像は2008年刊行のコミック版のもの。
【おもいでエマノン】とは、
1983年に発表された梶尾真司氏の小説ですが、この作品に登場する「エマノン」というキャラクターは、
地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶している
というキャラクターなのです。
エマノンには数百年前の記憶があり、当時の状況を正確に憶えています。
それどころか、地球に生命が発生したとされる30億年も前の記憶から始まり、
現在までの記憶を総て引き継いでいるのです。
最初の生命形態である単細胞生物として、海のなかをたゆたっていた感覚が最初の記憶だといいます。
生命が個体発生を繰り返すとき、直系の一匹のみがその先代の記憶を総て引き継ぎ、
それを繰り返して、生命の記憶が次々と後継者に蓄積されていきます。
エマノンは、常に生物の系統発生の最先端にいました。
やがて生物の霊長は「人間」となり、エマノンの現在に至ります。
人間となり、言語による思考が可能となったエマノンは、自分の存在とは一体なんなのかと
考えるようになります。
何故、自分が30億年にも及ぶ記憶を蓄積し続けるのか?なんのために・・・。
ある年、エマノンは連絡船で偶然出会ったSF好きの青年に自分の正体を話してみると、
青年は興味深い考察を返しました。
それは、エマノンが地球上生物の進化の生き証人であるということ。
誰の、何に対する使命なのかはわからないけれども、要はエマノンの存在は必要とされているはずだ、
とも・・・。
・・・。
十三年後、青年はエマノンと再会しますが
エマノンの記憶はすでに、その娘へと受け継がれていました。
エマノンは自分の存在意義について結論を出しました。
自分は生命全体の"おもいで"なのだ、と。
以上が、【おもいでエマノン】の物語内容です。
設定がAIRの翼人と非常によく似てますね。
もしかしたら、翼人の元ネタはエマノンなのかもしれません。
エマノンのように、翼人も親から子へと最初の生命から始まる記憶・・・
「星の記憶」を受け継いでいきます。
今回はAIRの物語内の説明でイマイチわかりづらかった部分を、エマノンと重ねながら
解釈していきたいと思います。
AIR、星の記憶のゆくえは?
AIRでは神奈の母から神奈へと記憶が受け継がれたあと、神奈は呪いによって天空に囚われてしまい、
その記憶と魂は輪廻を繰り返し、やがて普通の人間へと宿ります。
ところが普通の人間では、注ぎこまれる膨大な記憶量を受け切ることができず、
やがて死に至ってしまいます。
星の記憶は再び輪廻に戻り、別の人間に受け継がれます。
これの繰り返しです。
AIRのヒロインである神尾観鈴は、星の記憶の担い手のひとりでした。
観鈴は今まで誰もやりとげることができなかった、星の記憶を最後まで受け継ぐ
ということに成功したのです。
その後、まもなく力尽きてしまいますが、このわずかな期間だけは
観鈴にはエマノンと同じように30億年の星の記憶が受け継がれていたはずです。
そう解釈すると、ゴールするときに観鈴がどんな気持ちだったのか・・・
ちょっと想像してみてください。
そして、最後に登場する二人。
女の子の方はともかく、男の子の方は何か悟ったような口ぶりです。
「なんでもないんだ、ちょっと昔のことを思い出していた」
「その前に、確かめにいこっか」
「きみがずっと確かめたかったこと。この海岸線のむこうに何があるのか」
もしかして、星の記憶はこの男の子に引き継がれている・・・?
観鈴が一時的にでも引き継いだ星の記憶。
この記憶が再び輪廻に乗り、この男の子に宿っているように解釈できます。
本来、普通の人間が受け止めきれないはずの星の記憶が何故、普通の人間に見える
男の子が引き継ぐことができたのか、という点は解釈しきれませんが、
ここは、この男の子が次の星の記憶の担い手であるととらえたいところです。
やがて、星の記憶は次へ次へと引き継がれていくことでしょう。
星の記憶は幸せなものでなければなりません。
せめて、星の記憶を担う最後の子には、幸せな記憶を・・・
という本編中のナレーションは、これより子へと星の記憶を引き継ぐ親の願いでしょうか。
エマノンの言う、自分が受け継いでいる記憶は生物全体の"おもいで"である
という解釈を借りれば、【AIR】という物語は星の記憶の物語から転じて、
"おもいで"の物語
ともいえます。
実際、アニメを視聴してた人や、ゲームをプレイしていた人の中には
AIRの"おもいで"が胸に残っていて、夏になる度にふと思い出したりする人もいるんじゃないでしょうか。
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細部は完全に忘れていたので管理人さんが書いていることのほとんど忘れていたのですが・・・(笑)
AIRで最初に思い出すのはあの作品舞台のことですね田舎でさびれていて海には人がいなくて、おまけに主人公の人形劇は子供に受けない
夏の終わりにポジティブな思いを抱き始めたのはAIRをやってからでした。
だから劇場版でそのすべてが壊されていたのを見た時ちょっと殺意を抱きましたね(笑)
美しい思い出が壊されるのが怖くていまだに観てないです…。
やっぱ地雷ですかね…
好きだけどな