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先日発売された「ジャンプSQ」6月号にて
『るろうに剣心-キネマ版-』の連載が始まりました。
今回はこのキネマ版の内容にガッツリ踏み込んだ記事と
なりますので、未読の方はご注意ねがいます。
キネマ版既読か、ネタバレ蝶OKな人のみ以下をお読みください
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るろうに剣心の新シリーズの連載がSQにて始まるという情報が
流れた当初は、その内容は本編のアフターストーリーになるのでは
という印象が強かったと思います。
実際、るろうに剣心本編は人誅編のあとに「北海道編」なる
ストーリーが予定されていたらしいので、今回SQで連載される
新シリーズはもしかしてこの幻の北海道編なのでは?
という想像に行き着くのは至極当然の流れです。
でも、実際の新シリーズの内容は『キネマ版』ということで
8月に公開される実写映画版るろ剣にあわせた
本編のリメイク版のような内容となっていました。
キネマ版第一話は、「幕末の京都に人斬り抜刀斎という志士がいた」
という回想から始まり、時は流れて明治十一年、浪漫譚は始まる―
という、『無印版』第一話と同じ導入となっていました。
そこから先はキネマ版独自の展開をみせるのですが、
なつかしのキャラたちが本編とは異なった役割で登場し、
これはこれで非常に面白かったです。
そこで、今回はこの『キネマ版』第一話と『無印版』第一話を
読み比べてみようと思います。
また、無印版連載開始前の『読み切り版』も二編存在してます。
言ってみれば、明治剣客浪漫譚はキネマ版もあわせて4回も始まったということになりますね。
この『読み切り版1』『読み切り版2』もあわせて比較してみようと思います。
では、どうぞー
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ご覧の場面は『無印版』の導入場面です。
かつて「幕末」に「人斬り抜刀斎」という志士がいた。
修羅さながらに人を斬ったその男は「伝説」となり、
やがて動乱の時代の終わりとともに姿を消した。
そして、浪漫譚の始まりは明治十一年、東京の下町から・・・
という内容でした。
漫画作品において、一番最初の場面は物語の内容や印象を
読者に提示する重要な場面となります。
『るろうに剣心』最大のテーマである
幕末の動乱期の伝説の人斬りが明治の世を生きる
という内容が、この最初の1ページ目で提示されています。
この導入は、『読み切り版1』『読み切り版2』でも共通していて、
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これが『読み切り版1』の導入
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これが『読み切り版2』の導入
こんな感じで、導入は三篇ともに共通しています。
では、『キネマ版』ではどうなっていたかというと、
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こんな感じ!
「修羅さながらに人を斬って伝説と化した」くだりのナレーションは
ありませんが、このあと数ページにわたって人斬り抜刀斎の剣戟シーンが
ありますので、そのシーンがナレの代わりとなっています。
『無印版』の「追憶編」の導入と似ているかもしれません。
ちょっとした演出の違いはありますが、基本的には
『キネマ版』の導入は『無印版』『読み切り版』と共通しており、
るろうに剣心の最大のテーマはキネマ版においても変わってない
ことが印象として刻まれます。
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無印版一話と読み切り二篇に共通する内容として、
導入終了後に主人公とヒロインが出会う場面がすぐに提示される
というものがあります。
ボーイ・ミーツ・ガールは少年マンガの基本!
(剣心をボーイとするのは抵抗ありますが…)
というわけで、こちらが『無印版』の場面となります↓
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後ろから呼びつけられた剣心は、ヒロイン・神谷薫に
いきなり斬りかかられます。
なんともアグレッシブな出会いです。
薫の勇ましさと平常時の剣心の優男っぷりが提示される場面でした。
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『読み切り版1』のヒロインは、来迎寺千鶴という令嬢でした。
暴漢に追われているところを助けてくれといきなりな出会いです。
助けられる立場だけど気の強い千鶴嬢。
ちなみに、読み切り版1と2では、主人公「剣心」の名は
出てきません。
あくまで「元・人斬り抜刀斎の流浪人」でしかないわけですが、
便宜上、この記事では読み切り版の主人公も「剣心」とします。
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『読み切り版2』は無印と同じく神谷薫がヒロインとなります。
出会いがしらいきなり斬りかかられるのも無印といっしょ!
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ちなみに、『読み切り版2』には弥彦と恵が、薫を含めた神谷三人姉弟として
登場します。
無印、読み切りともに「気の強いヒロインとの出会い」というのは共通してるわけですね。
さらに言うと、後で取り上げる「悪役」とヒロインとの関係性についても注目です。
まぁ、それはさておき、『キネマ版』のヒロインとの出会いを見てみましょう。
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撃剣興行に巻き込まれた剣心は、対戦相手・神谷薫と出会います。
わけもわからないまま試合が始まり、剣心は薫の面打ちを堂々と喰らいました。
やっぱり、「出会いがしらにいきなりヒロインにKOされる」という
いままで(読み切り1以外)の出会い場面を踏襲しています。
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また、先に弥彦に出会い、薫のもとへ連れて行かれてそこでKOされる
というのは『読み切り版2』と同じ展開です。
ちなみに、キネマ版では読み切り版2と違い、薫と弥彦は姉弟という
設定ではありません。
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今回読み比べている四篇に共通しますが、各篇に悪役が登場し、
剣心の強さを引き立てるようにあざやかにやられていくのも特徴的です。
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『無印版』の悪役は比留間兄弟です。
巨体の弟が神谷活心流・人斬り抜刀斎の名を語って
神谷道場の評判を落とし、狡猾な兄が神谷道場に奉公人として
入り込み、薫から道場の土地を手に入れようとしていました。
図体のでかい弟が剣心に一撃のもとに轟沈させられる場面は圧巻です。
やられっぷりが実に見事で、第一話の悪役としては最上の仕事をしました。
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『読み切り版1』の悪役は武士団・回天党の首領(名前不明)です。
没落した士族を束ねて不満を解消するために貿易商の娘(千鶴)を
誘拐して身代金を要求するという典型的な小悪党ですが、
最硬だという鎧をさんざん自慢しておきながら剣心の胴への一撃で
あっさりと撃沈するあたり、剣心の剣のすさまじさを強調するには
十分に役割を果たしてました。
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『読み切り版2』の悪役は西脇という人物です。
神谷活心流の師範代でありながら、博徒を引き連れて強引に道場主に
なろうと神谷姉弟に嫌がらせをしているという、これまた小悪党です。
ビジュアルが『無印版』に出てきたインパクト充分の悪役・武田観柳に
似ていますが、悪役として観柳ほどの味はなく、本当にただのクズでした。
でも、得物に拳銃を使ったのは評価されるところですね。
いともあっさり銃弾を回避する剣心のすごさを強調することができました。
最後はKOされずに、剣心のあまりの怖さにビビって気絶するという
やられ方も十分評価されるに値します。
さて、三篇の悪役を見てきましたが、どの悪役も「主人公の強さを引き立てる」
という、「第一話の悪役のセオリー」をしっかりと守ってつくられたキャラたちでした。
そして、注目の『キネマ版』の悪役ですね。
『キネマ版』の悪役は、『無印版』でも大変な悪役っぷりを発揮したこの方でした!
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武田観柳 With 回転式機関砲(ガトリング・ガン) !!
出たァー!!
るろ剣の敵キャラのなかでもトップレベルのインパクトを持った
武田観柳堂々の登場だァー!!! ("様"をつけんか!無礼者ォォ!!)
しかも「With」って単語で回転式機関砲(ガトリング・ガン)を
同列のキャラのように扱っていて面白すぎです観柳様。
この観柳様と回転式機関砲(ガトリング・ガン)の組み合わせは
『無印版』登場地に読者に絶大なインパクトを与えており、
そのあたりを踏まえると、『キネマ版』の記念すべき第一話の悪役に
武田観柳様 with 回転式機関砲(ガトリング・ガン)を据えたのは
グッジョブ和月先生としか言いようがありません。
しかも、キネマ版の観柳様はエキセントリックさに磨きがかかっていて
和月先生が『武装錬金』で確立した奇人・変人な敵キャラの要素が
色濃く反映されており、観柳様を無印よりも濃いキャラへと仕立てあげています。
観柳様の蝶最高な飛翔がみられるかと思ったくらいです。
そして、やられっぷりも実に見事で、
見開き2ページを使って回転式機関砲(ガトリング・ガン)ごとやられる
という徹底ぶりです。
サスガァ。
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さて、悪役も倒したところで話はまとめに入ります。
読み切りの二篇は、剣心が再び流浪に流れて幕を閉じましたが、
連載となる無印については、流浪人だった剣心が神谷道場に
留まることになったということで浪漫譚の始まりを連想させる
ラストとなっていました。
と、まぁそんな結末に関係なく、読み切り二篇と無印版では、
毎回小ネタのように付く"オチ"がありました。
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それは、「剣心が幕末の人斬りなら、一体いま何歳なのさ!」という
やりとりです。
剣心は若さ全開の見た目ですが、「幕末期の伝説の人斬り」という設定上、
どうしてもキャラ年齢を三十前後に設定しなければなりません。
それに対するセルフツッコミというか言い訳的なオチなわけです。
これは『無印版』のオチですね。
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で、これが『読み切り版1』のオチです。
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これは『読み切り版2』のオチ。
毎回恒例なわけですね、このやりとり。
では、『キネマ版』でも当然このやりとりがオチとなるのかと思いきや―?
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ぜんぜん違った!
まぁ、剣心が見た目若々しくても年齢三十近いってのは
無印読んでた人ならみんな知ってるわけですから、
もうオチで説明する必要もないんじゃないかってことですかね。
しかし、キネマ版のこれはこれで問題のあるオチですよ。
剣心に叩きのめされた観柳様が復讐のために金で刺客を雇っていて、
その刺客の顔ぶれのなかに見たことあるキャラが何人もいるわけです。
このオチでかなり劇場版っぽさが印象付けられました。
アニメ映画など、連続放映モノが劇場作品化される場合、
原作登場キャラが原作とは異なる役割で登場する場合があります。
これは、映画という決められた尺内で出来る限り原作のキャラを
多く登場させようとする演出方針の場合、よく見られる傾向です。
この演出方針はキャラひとりひとりの掘り下げは浅くなるのですが、
基本的に劇場版を観に来る人は原作を知った上で観に来るわけですから
無問題なわけです。
結果、「劇場版」作品はなんとなくお祭り感がただよう作品となるわけです。
この『キネマ版』第一話のラストのオチは、まさにそんな「お祭り感」が
よく出ています。
左之助、斎藤一、外印に番神。それに、鵜堂刃衛らしき人物が確認できます。
原作からすれば、このメンツが観柳様に金で雇われるなどということは
絶対にあり得ないのですが、それが許されるのが「劇場版特有のお祭り感」
というわけなのです。
なので、おそらく『るろうに剣心-キネマ版-』はこの先、
劇場版っぽい展開を迎えることになると思われます。
多分、連載も3,4回程度で終了することでしょう。
(実写映画の公開が8月25日なので、
映画にあわせて秋くらいには終了予定なのかも)
るろ剣の続編を期待していた人にとっては肩すかしな内容だったかも
しれませんが、これはこれで非常に面白い試みだと思いました。
『キネマ版』第一話のラストからすると、なんとなく刃衛がラスボスっぽい
雰囲気を醸し出しているのにも興味津々です。
一体どんな展開をみせるのやら。
ともあれ、るろ剣連載終了から十数年の歳月を経て、
再び沸き起こった「るろ剣祭り」です。
これは最後まで付き合わなければ!
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画像を豊富に用いた分析と比較がわかり易かったです。
続編を期待していたので少し残念ですが、来月も読みますよ~。
『るろ剣祭り』に乗っかりましょ~。。
るろうに剣心、楽しみにしてましたがまだ読んでいなく、いつ読めるかもわからなかったのでうれしかったです
比較してもらえると、差が歴然ですね。。
更新楽しみにしています♪
色々分かって良かったですwwwww
参考にしていけるのでこれからも見ます