「カルテやレントゲン写真等の医療記録は病院に
どの程度の期間保存されているのでしょうか。」と、質問を受けました。
診療科目や急性期・慢性期によって、大幅に違いありますが
どこでも収蔵棚(庫)が一杯で、用紙の劣化などの問題があります。
1.まず、診療録(いわゆるカルテのことです)は、日本の医師法24条により、
5年間の保存義務が課されています。
2.次に、診療録以外の病院日誌、処方箋、手術記録、エックス線写真等は、
医療法21条1項14号及び同法施行規則20条11号により、
2年間の保存義務が課されています。
3.そして、保険診療においては、診療録以外の療養の給付の担当に関する帳簿及び
書類その他の記録(検査所見記録、エックス線照射録等)は、保険医療機関及び
保険医療療養担当者規則9条により、完結の日から3年間の保存義務が課されています。
また、保存期間の始期については、(3.)以外は特に明文はありませんが、一般的には(3.)と
同様に診察の完了日と考えられているようです。
以上をまとめますと、現在、通常の病院であれば保険に加入していないことはほとんど
考えられませんから、誤解を恐れずに言えば、
カルテは5年間、それ以外の書類は3年間の
保存義務があると言えるでしょう。
もちろん、実際に必要となる書類が(3)には該当せず(2)にしか該当しない場合も
十分あり得ますので、以下に記載した条文を参考にして
保存義務が2年なのか3年なのかを十分確認してください。
また、保存期間の始期についても、例えば後遺症が続いている場合には
診療が完結したとはいえない場合もあり得るでしょうし、時間的に非常に近接している
場合であっても、例えば交通事故と病気というように全く異なる原因で、
かつ同じ病院で診療を受けた場合にはそれぞれ異なる始期になり得ますので
十分注意することが必要です。
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