胸部レントゲンが終わって部屋に戻ると、11時近い。そこに妻がやって来る。素直に嬉しい。妻は入院に必要なスリッパや下着などを持ってきた。ペットボトル数本も。医者から許可が出ていたお茶とミネラルウオーターである。ちなみにパジャマは1日100円で貸し出し可ということで、そちらを利用。
そういえば、最近は入院に必要なパジャマや身の回りの物を貸し出すサービスがある。入院セットとかアメニティセットなどと呼ぶ。実に高額なサービスで、聞いたところによると、下着はなしでオムツありのセットだと1500円以上かかるらしい。オムツなしだと900円程度。知り合いが3泊入院した時、1日1800円だったそうだ。3泊といっても請求は4日分になるとのこと。結構大きな負担だ。
仮に私が今回の入院でこのサービスを利用していたら、オムツは不要なので、900円✖20日=18,000円である。なかなかの金額だ。一見いいサービスに見えるが、高額すぎる。
じつは業者が入った形のサービスなのだが、病院はいい手数料がもらえるらしい。運用はほぼ看護師がするらしいので、いらない労働が増えるだけではないか。救急搬送でこのサービスはよくわからないまま契約されてしまうらしい。隙間産業といえば聞こえはいいが?金儲けのタネをよく見つけたものだ。私が今回入院した病院では採用されていないサービスで、そういうことから金儲けを優先させるという雰囲気ではないと感じたりもした。
妻が来たので、なんか気持ちが落ち着く。特にやることもないのだが、妻にベッド脇に座ってもらい、たわいのない会話をしていた。ところが、妻の目が腫れている。この時は妻から説明はなかったのだが、入院後半になった頃、家で心配で泣いてしまったと吐露した。
じつは私の妻は上海人。いつも感じるのだが、中国人は家族や親戚には本当に愛情深い。現代の日本人からは失われてしまった共同体意識があるように思っている。それに妻のストレートな性格が重なって、本当に私は運がいい。
12時に昼食である。ご飯が出たが、150グラム、おかずの量も少なく、味は薄いというよりない。フルーツがつくのだが、それが一番明確に味がある。もともとフルーツが好きということもなかったのだが、それ以来フルーツが好きになってしまう。
午後は特に予定はない。検査もない。なんとなくテレビを見て、妻と時間を過ごしていたのだが、読書好きであるにも関わらず、読書する気にはなれない。妻に数冊本も持って来てもらってはいたのだが、手が伸びない。1時間半ほどいつの間にか寝てしまったりした。それほど弱っていたのだが、前日の心不全の症状をベースに物事を観察していたので、自分のことがわからなかったのであった。
高血圧と尿が出ないのである。16時ごろ、主治医の代理となる医者がやって来た。