Drマサ非公認ブログ

高血圧不安症(後半)

 テレビを見ていると高血圧に注意を喚起するかのようなCMが多々ある。また情報バラエティ番組で医療を取り上げるものも多く、そこでも同様の注意が促される。インターネットでちょっと調べれば、高血圧が脳卒中・心筋梗塞・心不全・不整脈・動脈がんの原因になるとの情報がまず目につく。

 いい情報というのは、じつに目につかないものだ。特に医療に関しては。

 こんな情報にばかり接していれば、どうしても気になってしまうだろう。歳をとれば特に。ましてや目につく情報は医療という科学的知見であるし、信用できると考えるものだ。ただ僕は科学的な情報として、即座に信じられるとは思われない。

 さて、このような高血圧注意喚起の情報にさらされながら、僕たちはそれを恐れることになる。そのような情報は僕たちの精神に何がしか影響を与えないものだろうか。

 ノシーボ効果をご存知だろうか。前回取り上げたブラシーボ効果と反対の効果である。ブラシーボ効果は人にとって肯定的な効果であったが、ノシーボ効果は否定的効果を人間に与えてしまう。例えば、薬の副作用を説明すると薬が効くどころか、薬のせいで体調が悪くなることがある。

 僕自身も病院で働いていたとき、治療で使った薬のせいで体調が悪いと訴えてくる患者をよく見ていた。実際に診察してみると、薬が原因とは言い難いことが大半であった。つまり、気にし過ぎなのである。医者は何がしかの病名を付けなくてはならないので、不安神経症など精神的な問題として処理していた。

 ここからは仮説だが、あの血圧が高いと言って心配して来たおばあさんは、血圧が高いことのリスクを情報として受容し、この情報に反応して、実際自宅で血圧が上がったということはないだろうか。加えて一人であることの孤独もあると思うのだが。

 だから、メディアや社会で流通する血圧に関する知識は、一般の人々が受容するときには、科学的な客観性を後退させ、不安を煽る情報として流通している。つまり、このような高血圧を不安視する社会というのは、社会全体がノシーボ効果を発揮する情報に溢れていることが予想される。

 加えて、僕たちの社会はこのような情報を不安の種とするような構造になっているのではないだろうか。これ、病は気からという話にすぎないのだから、もう少しおおらかに生きたらいいのではないだろうか。

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