Yahooにプロレスラーのダイナマイト・キッドさんが死去したとの報道が載っていた。
D.キッドといえば、激しいスタイルを貫いたプロレスラーであった。
プロレスというスポーツは不思議なジャンルである。最近ではエンターテイメント・スポーツという位置づけがなされているため、緩いプロレスが増えているという印象を持つことがある。手加減してますよって感じだ。
しかしながら、前田日明も言っていたと思うけれど、選手の意識によって、過酷なスポーツにもなる。キッドのスタイルは明確に後者の方である。全く逃げずに相手の攻撃を受けるし、攻撃は厳しい。プロレスのルールの中で手加減なしだ。ある意味、プロレスのルールを逸脱していたと感じるプロレスラーもいたと思う。だから、対戦相手によっては嫌われていたらしい。どんな技でも逃げないで真正面から受けるというのはプロレスラーの矜持に違いない。そういう矜持を全身で表していたと思う。
今でも印象深いのは、対スキップ・ヤングでのダイビング・ヘッド・パットである。コーナー最上段から飛んでの頭突きだが、もろにヤングの頭に炸裂。そのままヤングは失神してしまった。それだけではない。技からフォールに行く間が1分以上あって、その間、キッド自身がダメージから立ち上がれない状況だった。その1分間はテレビ画面が止まってしまったかのような不思議な時間であった。
追悼の意味を込めて、僕なりのベストバウトをあげておこう。
・ 一連のキッド対タイガーマスク(佐山聡)
・ キッド、デイビーボーイ・スミス、コブラの3つ巴戦
・ キッド&スミス対マレンコ兄弟
・ (番外)先に挙げたスキップ・ヤング戦
ステロイドで身体を壊したのだろうが、そのような無謀さがファイト・スタイルに直結していたのであろう。だから、プロレスラーとしてのキッドにステロイドの過剰な使用をとがめる気にはならないが、ひとりの人間としてと考えてみれば、その周りにいた家族や友人もいるのだから、そんな無責任な言葉をはいてはいけないのではないかとも思ったりする。
とにかくプロレスラーとしてという面しか、僕は知らないので、思わずそんな言葉を記してしまった。
キッドのドキュメンタリー映画が作られているとの噂を聞いたことがある。日本でも上映されれば、必ず足を運ぼうと思う。