もう10日ほど経ったのだけれど、気になった事があったので、思い出しつつ、書いて行こうと思う。
テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」であった。出勤する前の時間、テレビのスイッチをつけて、ぼんやり見ていたら、ネットでトロッコ問題の解答がなされているとのテーマであった。
トロッコ問題というのは、線路を走っていたトロッコが制御不能になり、前方で作業していた5人がトロッコに轢かれてしまう状況にあって、偶然分岐器の側に「私」がいて、分岐器を操作すれば、5人を助けられるが、その操作のせいで、1人が轢かれてしまう時、「私」はどうすればいいのか?という問題である。
(Wikiより)
アメリカ社会でこの問題が出されると、5人を助ける方を選ぶことになるという。通常、これを功利主義。多くの人が助かる方がいいと考えるわけだ。ただ、1人は犠牲になる。
ところで、この1人が「私」の親や子供、恋人だったらどうするだろうか。やはり身内を助けようとするだろう。これを共同体主義。でも、5人が犠牲になる。
もう何年経つだろうか、ハーバード大学の政治哲学の教授マイケル・サンデルの白熱教室が話題になったので、ご存知の方も多いのではないだろうか。何が正しい行動になるのか決定的な基準がなく、解答困難な問題として位置付けられている。
ちなみにサンデルは共同体主義者であり、功利主義的思想を批判する立場でもあった。講義スタイルが対話というか、学生も参加する議論を中心としていたので、日本の大学の講義との違いが浮き彫りになって、そういう点でも話題になった。
この問題を朝のワイドショーが「ネットで正解が出た!」と取り上げていた。正解は「何もしないこと」なんだそうだ。それを「なるほど〜」という感じで出演者がほぼ納得?していたようで、それを見ていた僕は驚いた。
何をしても絶望なので、「何もしない」んだって?自分のことだけ考えたら、正解は「何もしない」なんだそうだ。
さらに、分岐器を真ん中ぐらいにしてしまえば、右にも左にも進行せず、脱線するので、全員助かるというのが正解中の正解とのことだった。「分岐器がデジタルだったら、どうすんのよ?」などと思いながら、見ていた。
(続く)