銀の人魚の海

日々の思いを好きに書いています。映画、海外ドラマ、音楽、本。
スヌーピー、ペコ、NICI、雑貨グッズ画像。

世界にひとつのプレイブック

2013-03-01 | 2013年新作映画鑑賞
個人的な思いいれもあるが、良い映画だった。

オスカー、31年ぶりに演技賞四部門ノミネートされたこの映画、

作品的にはオスカー映画でなくてもいいような、

でも四人の演技力は見事だった。俳優たちのことから。

Bクーパー。38歳。大卒後、アクターズスタジオ、

今もここへ入る人多いのか?少しだけレイフの若い頃ににているので、

映画はほぼ見ている注目俳優。

これまでお軽いプレイボーイ役、ゲイ役などだったので、

これ、できるの?と思ったが、自然に難しい役を熱演。

22歳、Jローレンス、わかいのに、この役作り、受賞納得の演技だった。

表情が少ない所が個性か~良いところでもある。

この役、強くキレやすいが、もろい、不安定になりやすいタイプ。

間違ってもAハサウェイにはできなかったと思う

父役、デニーロもぴったり。

母役は、28歳時、好きな映画、

「ピクニックATハンギングロック」に出ていたとあり教師役か。

全編、先日レンタルで見た「別離」と同じような会話劇。

でも「別離」と違い、こちらは障害からの会話の多さで、

多弁、興奮の会話合戦がつづく。

パットは躁鬱病(双極性障害)で、母のおかげで、やっと退院したばかり。

この病気の症状(個じん差はある)感じは、とてもよく出ていた。

デニーロ父も、アメフトギャンブルが命、

そう的性格がありパットとは似たタイプだ。

アメフトへの熱狂ぶりのうるさいこと。リモコンを揃えて置き、ハンカチがジンクス?

など強迫性障害あたりも少しあるか。

パットは妻の浮気で乱暴、入院となったが、それ以前からも

安定感をかきやすいタイプだったと思う。

それが、浮気現場を見た、おまけにあの曲が!が発病のきっかけとなった。

デニーロ父も自営業+ギャンブル系という環境もたしょう関係あるか・・

母の手配で八ヶ月で退院したパットを帰宅早々、

父は、自分のやりたい事を話しまくり

巻きこんでいくので、この家での自宅療養はそもそも無理(^O^)みたいだが、

次男のパットを偏見はなく、普通の目で父母はみつめている。

このあたり、映画、フィクションだから、という気もするが、

笑をとりつつの家族、友人模様が日常の大切さを感じさせていた。

全編、音楽の選曲もよく、

ポイントソング、Sワンダーのマイ、シェリーアモール、私も大好き!

この歌から始まり、HAVE YOURSELF a merry~山下達郎も歌った、

これも大好き。

ダンスシーンではマリア、ラストはミスティ。

抜群の選曲で、この障害の繊細なパットが好きそうな曲を並べていると思う。

知らない曲もあるが、サントラが欲しい。

ダンスシーンは五点でも二人にとっては、

達成が宝物となり気持に素直になれる。

でも、これから先はきびしいよ!

家族や友人が集まり、またアメフトがどうのこうのラストは、

先は長くきついことも山ほどあるが、やっと、

少し穏やかな日々がきそうな予感だった。

同じ躁鬱病を描いた映画では、Rギアの「心のままに」があるが、

「世界で~」の方がリアリティ、障害に関しての知識がはいった映画だと思う。

この障害は北杜夫、中島らも、かれはアルコール依存症もある?

で、まあ有名になったが、症状も様々で、ひとくくりにはできない。

それは精神疾患すべてに言えるので、

この映画は躁鬱病患者である、パットの個の物語と恋とみればいい。

双極性障害では95%いじょうの患者は薬を一生きれない。

投薬しバランスを保ち、規則正しく生活することが大事で、薬はとても大切だ。

カウンセリングで治る障害ではない。

薬は嫌い、辞める、ぼんやりする、むくむというセリフが何回も出たが、

飲んで寛解へ持っていく事が、普通の生活へのまず第一歩。

個じん差もあるが、お祭り的行事、儀式などもあまり勧められないし、

興奮する行事も禁忌。

特に薬がしっかり効くまでが大事な時で、

できるだけ穏やかに、体調を自分、または周りがみてコントロールしていく。

結婚式、葬儀なども、できるなら避けた方がいいケースがある。

パットがあの曲をきいただけで、パニックになる、

不安定になるはとてもよくわかるシーンだった。

例えば、本の中のある一行でもそれは起こりうる。

TVなど、何かちょっとしたことでもバランスを崩し、興奮への発作となる。

普通では考えられない事がきっかけで、悪化することもあるので、

まわりにサポート、モニターが必要。一人暮らしは難しい病気である。

そういう意味では、パットは幸せ者で

近い家族がどこまで、支えるか、知識を持てるかが鍵でもある。

躁鬱病は、一部の統合失調症患者とは違い、バランスが崩れ、興奮、混迷症状が出ても

人格破壊、荒廃はない病で、投薬しつつ通勤、普通の仕事をしている方もめずらしくはない。


●パンフ、スクリーンからいくつか。

残念だがパンフレットには、良かったラストのダンスシーン写真は一枚もなかった。

ラッセル監督自身が躁鬱病で、これまでの映画制作中、

トラブルを何回も起こし五年も仕事がこなかったと。

Gクルーニーを激怒させていると。

さらに彼の息子も躁鬱病で、監督より重いとある。

この映画では、パットを訪ねカメラを撮る少年役で出演している。

そうか、あの子なんだ。

ラッセルは2010年、「ザファイターズ」を撮りヒット、

これはマークウォルバーグが制作、主演。

彼が、ラッセルと組んでしたいと持ちかけたそう。

未見だがCベールも出ているのでみてみたい。

マークの事。

何と元はボストンで麻薬ディーラーをしていたストリートギャング!納得(^O^)

ラッセルは名門大学卒、経歴が全く違う二人のコンビ映画となった。

「ファイターズ」の前にラッセルは亡きSポラック監督から

この原作を読むようにすすめられた。

ポラックは友人であるAミンゲラとともに

この本の映画化権を取得していたが、二人とも亡くなり、

ラッセルが引き継いで映画化することになった。

自身、息子もこの病、間に「ファイターズ」の撮影もはいったが、

何としても撮りたかった映画でもあったそうだ。

原作はマシュー・クイック、08年のデビュー作。

病気の小説、彼はどんなきっかけでかいたのだろう?それは書かれていない。

原題、silver linings play book。

プレイブックはアメフトの作戦ノート。

silver~は銀の裏地の意味で、太陽が当たっている面の意味。

アメフトの知識があれば、その会話シーンではもっと楽しいと思うが、

あの賭けに参加したいとは思わないな(^-^)


わけあり、bipolar disorder と関わり、この三月でちょうど17年たった。

長いような短いような。

その間、10人以上の医師、福祉系の方とも話した。

そんな時にこの映画と出会え、

気になる俳優Bクーパー主演という奇遇を記憶にとどめておこう。


監督はこうも語る。

癌、心臓病について人は語るのに、精神病については語る機会も少ない。

まったくその通り。

日本ではまだまだ偏見、誤解の多い精神疾患だとおもう。

鬱病は少しメジャーになったが、躁鬱は鬱病とは違う疾患。

昔の作家、誰だったか、寺田寅彦?ちがう・・

「家族の特殊な病で一番偏見を持つのは、

実はその家族、親類など、近い人の割合が多い」

というような事を読んだことがある。

それを思えば、パット、ティファニーは周りも明るく協力的、

二人、力を合わせ、病気を理解、病識を持ち生活していけば

苦労はあるが、幸せになれる、と思った。


海外、先進国では精神科へ~は普通の時代となった。

日本ではまだまだなので、少しでも理解者がふえればと祈りたい。

あなたが、あなたの家族がかかったかもしれないと思って~

キツく、辛い障害ではあるが今は良い薬も出ているので

まあ普通の暮らしが、できる時代になった。

フィクションだがパットとティファニーが平凡でも病気を考え

穏やかに暮らせるように願いつつ。

デニーロ父、息子を巻き込むギャンブルはやめなさい!

悪化の種、と言っておこう。(^_^)


レ・ミゼラブル~ふつうでした

2013-01-31 | 2013年新作映画鑑賞
ミュージカルはあまり好きではないが、

ウェストサイド物語とサウンドオブミュージックは、

10代時、映画館で異常なほど見ている。

何故何回もは、それぞれ、わけがあり、今でもうたえるくらい。

レコードもかなり聞いた。

これは迷ったが、話題作ということで見た。

長く暗い色彩がほとんどの映像、良くも悪くもなかった。

一番印象に残ったこと。

この物語はカトリシズムだということ。

映画などでレミゼは二回は見ているが、その時は感じなかったことだ。

今回は、教会でのシーン、キリスト教グッズ、十字架、

イエスの身体のオブジェ、お祈り(これも歌になっている)など、宗教性が全編強く出ていた。

これを言ってしまっては終わりだが、英語、に違和感を持ったままラストへ。

カトリシズム、カトリックを強く出した演出。

やはりフランス語がしっくりするが、それは仕方ない。

各曲、スコアは素直に入る旋律で流れも良かった。

歌に関して。

一番上手いと感じたのは、エポニーヌ役、マリウスへ片思いで死ぬ彼女の歌声。

すべて若い人の方が自然で、伸びやかに歌っていた。

歌は体力がいるし、かしゅではない俳優の歌、若い方が上手いは当然といえばそう。

他の中年以上?も下手ではないが、歌手ではないので限界はある。

ちょっと頑張りすぎで、ここまで、歌にしなくてもと感じるシーンもあったが、

すべて歌でなので仕方がない。

撮影時に歌も同時とのことだが、編集で歌は直しを入れた?

少しはしてるよね、きっと。

ラッセル顔アップ何回も、が真面目に力を入れ歌う姿は、

ちょっと笑ってしまえるほどだ。え~~~歌ってるという感じ。

物語には、正と死、罪と罰、愛と憎しみ、許しと復讐など

聖書にかかれている事がテーマになっていると思う。

それぞれが激動のフランスの時代と向き合いつつ、

どう生きるか、神に問う、許しをこう。

アンの役、フォンテーヌは、マグダラのマリアみたい。

宗教性など、日本人にはわかりにくい感情も多いかもしれない。

冒頭、下を見ていろ、という歌声と

奴隷のような囚人の姿。

そこにいる二人の人生は、絡み合い、意外な方向へ進む。

自ら死を何故選択したのか?彼は幸せになったのか?

それは見ている物それぞれの想いだろう。

小説としては荒唐無稽さもたっぷりあり、

そこがロマンを呼ぶのだろうか?泣いてる人もいた。

一文無しの囚人から、八年で市長にって。

その経過は原作にあったっけ?

ジャベールとの偶然の再開が二回か、

それも、いかにも小説で大時代めいたお話が逆に現代ではいいのかもしれない。

英では85年から27年も舞台が続いていることは驚きだ。

山本耕史が小さい頃はガブローシュ役、

大人になりマリウス役をしたそう、と彼が好きな子供から聞いた。

映画化は、家の映画ガイドで調べた。

1934年から仏で三回映画化、その後、

四度目が57年、186分、Jギャバン。

82年、仏で未公開か?リノバンチェラ、Rオッセン監督。180分。

95年、仏、ルルーシュが現代に置き換え、

ベルモンド、Aジラルド、174分、どれも長い。

98年、ビレアウグスト監督が、リーアムニーソン。134分。

これは見ている。

ドラマでは仏、ドパルデューのを見た。TV放映があったのか?DVDでか~

何回も映画化されていることは、人気の物語なのだろう。

私は、この話物語はそれほど、すきではないので、ここまで!と驚いてしまう。

19世紀の仏の歴史。

仏の歴史を年表から。

ジャンは1700年の終わり頃に生まれたとし、

1814年までナポレオン一世、その後フランス帝国からブルボン家の王国へ。ルイ18世。

24年からシャルル10世。

30年、アルジェリアを占領し57年に征服完了。

1835年、バルザック、谷間の百合。

52年に、ナポレオンの甥だった?三世が再び皇帝に。1870年まで。

57年、ボードレール、悪の華。

そして62年、ユゴー、ミゼラブル。63年、ドラクロワの死。

67年、フロベール、ボヴァリー夫人。ミレー、晩鐘。

1870年、第三共和制。やっとここから70年続く政治体制が確立、現代へ続く。

ジャンの生きた時代は、仏の激動、混乱の50、60年だったと思う。

という歴史の再びお勉強にもなった映画。とくにお勧めはしない。

アウトロー~ヒッチコック風+不思議な感覚

2013-01-25 | 2013年新作映画鑑賞
試写会鑑賞。

もっとエンターテイメント、アクション系かとおもっていたら、

違っていた。そして、どこか不思議な感覚のある演出。

冒頭、10分くらいセリフがなく、静かな始まり。

全体に暗く静か、後半は少しユーモアもある。

好みわかれるかな?二時間以上なので長い。

原作は英の作家のシリーズもので知らなかったが、日本でも数編が出版されている。

ヒーロー?ジャックリーチャーは、13年軍に勤務後

放浪者となったトムクルが、私立探偵みたいなことをする物語だ。

かなり不自然でもあるが、原作もあるので忠実にだろうか?

ちょっとずれた感覚をラストまで保っているのは、

多分トムの役柄が、アナログ風だからか~。

ナイフではなく素手で殴り倒し、傍らの石で頭を叩く。

昔風が懐かしさを呼ぶ。

昔のチンピラみたいなの。

連絡も携帯はおろか、パソコンももちろん、こてい、こうしゅう電話のみ。

自らを隠す事が、ジャックの人生で常に裏で何かをする生き方。

悪夢のようでもあるが、これが彼だ。

企業の裏買収、無差別殺人が大筋だが、

あの黒幕の具体的な描きはない。

ヘルツォーク演じる彼の存在は映像では凄みはあるが、

実際にそんざいしてるの?という思いも持ってしまう。

立っているシーンはなかった気がする。

見ていて「SAW」のあの人みたいな感覚を持ったりした。

不思議さは、そのあたりからもあるのか?

チンピラをやとい殺人までさせ、何がそれほど欲しかった?と。

あの小屋くらいでしか登場しないので、

何なの、あのおやじ!と。

そして弁護士役の彼女、ロザムンド・パイク(覚えにくい名)

が出てきてから強く感じたことは、ヒッチコックの雰囲気だ。

彼女がブロンドだからかもしれないが、

ダークなヒッチコック的、風を、ラストまで持ちながら見てしまった。

何故?どこが?を説明できない。

ブロンドだけではなく、探偵物のせいもか?

映像も少し似ているシーンもあったとは思うが~

イメージを持ったが、どう書いていいのか・・

スタントなしのカーアクションは80分くらいから、やっとあるが、

夜のアクションなのでそれほどでもない。

CGなし、車八台を廃車にしたそう、

バックでの猛スピード運転もでたが、

暗いせいかスゴイとはいえないようなカーアクション。

これなら007、Jボーンのカーチェイスの方が断然上。

銃撃戦もあり微西部劇風。

ここで、Rデュバルが登場、お元気そう!

地獄の黙示録、を想い出しつつ、

彼の存在が後半はとても大きい。笑いも誘うセリフをトムと交わす。

どこか今ではないムード、何かが全編入っている。

そこは魅力になるだろう。

ラスト、彼女が治療中の彼と話すが、

結局この事件はどうなったのかはわかりにくい、

それとも私の頭では無理だった?の。

本と映像ではうまくいかない、伝わりにくさもあるだろう。

エンタ系で長いから、ラストはすっきりと、わかるように閉めて欲しい。

トムファンなら、十分楽しめる映画。