群馬大学 慢性看護学研究室ブログ

患者様や未病の方が、自分らしく生活できるよう研究・探求しています。糖尿病と慢性腎臓病透析予防外来も開設しています。

文献 DM患者様の有酸素トレーニングおよびレジスタンストレーニング

2021-12-21 22:34:00 | 研究室
<岡研究室 ゼミ紹介>
 毎週火曜日,19:40-21:10,大学院博士前期課程のゼミをzoomで行っています。今回は,こちらの文献紹介がありました。なお,ゼミはお試し参加でもokです。希望者は,お気軽にご連絡ください!!

<文献1>担当 倉石
Bacchi, E., Negri, C., Zanolin, M. E., Milanese, C., Faccioli, N., Trombetta, M., Zoppini, G., Cevese, A., Bonadonna, R. C., Schena, F., Bonora, E., Lanza, M., & Moghetti, P. (2012). Metabolic effects of aerobic training and resistance training in type 2 diabetic subjects: a randomized controlled trial (the RAED2 study). Diabetes care, 35(4), 676–682. https://doi.org/10.2337/dc11-1655

タイトル:
「2型糖尿病患者を対象とした有酸素トレーニングおよびレジスタンストレーニング(筋肉トレーニング)の代謝効果に関する無作為化比較試験」

概要:この研究は、無作為に割り当てられた糖尿病患者40名に対し、有酸素運動トレーニングまたはレジスタンストレーニング(筋トレ)を実施してもらい、代謝表現型(HbA1c,グルコースクランプによるインスリン感受性,経口ブドウ糖負荷試験によるβ細胞機能を含む),二重エネルギーX線吸収法による体組成,磁気共鳴画像による内臓脂肪組織(VAT)と皮下脂肪組織(SAT),心肺機能,筋力の変化を測定しています。介入期間は2008年9月から2010年2月の間で、2010年6月まで追跡調査が行われました。
研究の結果、有酸素運動・レジスタンストレーニングともにインスリン感受性が改善し、HbA1cの低下が認められました。また、両者とも腹部、特に内臓脂肪が優位に減少することが分かりました。有酸素運動とレジスタンストレーニングを組み合わせる事も効果的であるのではないかと示唆しています。


<文献2>担当 倉石
Church, T. S., Blair, S. N., Cocreham, S., Johannsen, N., Johnson, W., Kramer, K., Mikus, C. R., Myers, V., Nauta, M., Rodarte, R. Q., Sparks, L., Thompson, A., & Earnest, C. P. (2010). Effects of aerobic and resistance training on hemoglobin A1c levels in patients with type 2 diabetes: a randomized controlled trial. JAMA, 304(20), 2253–2262. https://doi.org/10.1001/jama.2010.1710

タイトル
「2型糖尿病患者のHbA1c値に対する有酸素運動とレジスタンストレーニングの効果
無作為化比較試験」

この研究では、ルイジアナ州の2型糖尿病でHbA1c値が6.5%以上の座りがちな男女262人を対象に,2007年4月から2009年8月までの9カ月間,運動プログラムに登録した無作為化比較試験を実施しました。41名を非運動対照群、73名を週3日のレジスタンストレーニング群、72名を週に12kcal/kgを消費する有酸素運動群、76名を週に10kcal/kgを消費し、週に2回レジスタンストレーニングを行う有酸素運動とレジスタンストレーニングの併用群に割り当てられました。有酸素運動とレジスタンストレーニング(筋トレ)を組み合わせる事の効果について研究されています。
研究の結果、有酸素運動とレジスタンストレーニングを組み合わせた群は、運動をしない群または有酸素運動・レジスタンストレーニング単独で実施した群に比べてHbA1cの優位な改善が認められることがわかりました。

感想
上記の2つの研究では2型糖尿病患者に対する筋力トレーニングの効果について述べられています。私は現在、糖尿病専門病棟に勤務しております。教育入院等で指導する機会が多く、普段からパンフレット等で有酸素運動を勧めておりました。しかし、30~40歳代の働き盛りの患者に対して有酸素運動を勧めても患者様から「歩いている時間がない」「家でできることならいいけど…」という言葉を良く聞いておりました。このような研究結果を受け、有酸素運動だけでなく、筋力トレーニングなど自宅で行える運動も提案していきたいと感じました。ただし、合併症の有無などによっては高強度の筋力トレーニングは危険である為、注意が必要です。初めて糖尿病と診断された方や、合併症の出現がない患者様に対してはお勧めしてもよいのではないでしょうか。

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