南の島で幼稚園の先生になろう!

帰国しました。日本で元気に職場復帰しています。

ある少年の話

2006年10月28日 | ミクロネシアの生活
ある少年の話。

おじいさんにはたくさんのこどもがそして孫・ひ孫がいます。

その中の一人にいつも陽気で明るい12歳の子どもがいます。
大人の話にもすぐに入ってきて、一緒に話したり、合図地を打ったり。

でも前に少し彼のお父さんの話をすると「よくサカオを飲む」と少しさびしそうだったことを覚えています。

そしてこの間から、よくおじいさんの家にとまりに来ています。
前も一緒に泊まって、朝ごはんを食べているとお父さんから電話で「お前が帰ってこないから鳥の餌はどうするんだ」って電話がかかってきて、彼は少し困り顔。

周りの大人(おじいさんや42歳のお孫さん達は)「大丈夫だよ、君がいかなくても鳥なんて大丈夫」って慰めてくれていました。
そんな僕の家は子どもたちにも優しい家族です。

でもいつも彼の少し大人びてまで明るくするときになぜだろう?と少しだけ頭のすみっこに気にかかっていました。

金曜日、コロニアに行くため、タクシーに乗ると、おじいさんからタクシー代をもらって、袋にたくさんのものをつめてその少年も乗り込みました。

そして、何故か彼を励ましたくなって「君はラッキーだよ。だってやさしいおじいさんがいるもんね。おじいさんは君のことが大好きだよ、そして僕も君が大好きなんだ」とタクシーの中で話しました。

彼の山のほうにある家に続く道を通り過ぎるので、「今日はどこにいくの?」と聞くと、彼は「知らない名前を口にしました」僕が「それって誰?」と聞くと「僕のお母さん」と答えました。
道はコロニアに行く少し手前で山道に入り、質素な小さな家に近づくと「ここでとまって」とタクシーの運転手さんに告げると、大きな荷物をいれていたタクシーのトランクから荷物を肩にかけて「またね」ととても明るく子どもらしい笑顔で小屋のほうへ走って行きました。

彼から今までお母さんのことは聞いたことがありませんでした。

彼の住んでいる家と彼のお母さんだという人の家が全く違うところにあることしか僕にはわかりません。

でも彼が大きな荷物を肩にかけて質素な小屋に向かうときに見せた一瞬の笑顔がすべてを物語っていたように思います。

まだ12歳だけど、彼の中で様々な葛藤があったり、自分ではどうしようも出来ないものを背負って生きていたりするんだと思うと、なんだかこみ上げてくるものがありました。

今日は恥ずかしながら、2回もこみ上げてくることがありました。

一度は前のブログで書いたワークショップで仲間が頑張っているとき、
そしてもう一度はいろいろなものを背負って生きている少年を見たとき。

人の悲しみに気づかず、人の悲しみを一緒に感じずに自分は生活してしまっているのだと思います。
悲しいことはなんだかつらいことだったり、沈み込んだりしますが、一人で悲しむより、二人で悲しんだほうがいいこともあるし、人の悲しみに自分が気づかずにいることの怖さを感じます。

もちろん、仲間の成功のように素敵な涙・悲しみに出会えればHAPPYだけど、悲しいことに気づける、悲しみに少しでも近づける自分でいたいと思います。
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うれしいからこみあげてくるもの(ワークショップ成功)

2006年10月28日 | ミクロネシアの生活
金曜日、2ヶ月かかったワークショップの本番。
もともと2ヶ月前に事務所から現地の算数の先生と一緒にジョイントで先生対象のワークショップをしませんか?という声かけから始まったプロジェクト

小学校隊員2名・教育局の配属の高校校隊員1名、僕、事務所のスタッフ、そして現地の算数専門家でスタートしました。

最初は、現地の人と僕たちの考えが違い、現地の専門家のモチベーションがさがってしまったこともありましたが、よくここまで2ヶ月で実現できたなあと思います。

今回は、僕と同じ職場の小学校隊員が授業をするということで、僕が一番手伝いやすい立場だったので、授業や準備のことなど、できるだけ当日教える隊員にだけ負担がいかないように気をつけました。

それは、会議でも、授業を当日にする人は、みんなの考えを発表する人というポジションで、その人の案をたたき台に、みんなで「ああでもない、こうでもない」と話しながらすすめました。
でも始めてするワークショップで、授業をすることになった隊員の精神的な負担は大きかったのではと思います。

僕は専門外なので、事務所への連絡、話し合いをまとめたり、また次回の議題を作ったり、
会計担当したり、POWERPOINT作ったりと裏方に徹して仕事をしました。

いつも僕は自分が前に立って自分が率先することが多いので、今回自分ができないというもどかしさを感じつつも、自分が前に立たなくても一緒にみんなでひとつのものをひとつの目的に向かって作っていく喜びを感じることが出来ました。

当日、どきどきしながら参加者を待ちました。
隣の学校の先生が数人が時間通りに来てくれましたが、やはりポンペイタイムで1時の予定が10分以上OVER。
でもなんと名簿だけ書いて帰った人もいるけど、90名以上の先生がきてくれました。

発表する隊員と僕とでつくったPOWERPOINTで今日の授業の内容を説明し、
そのご7年生の授業を見てもらいました。

もしかしたら、子どもを使っての授業は、このポンペイでは初めての試みかもしれません。
SUBJECTは、分数。

分数の足し算をするときに、分母をそろえないといけないということを、ペットボトルを使って子供たちに理解させます。

ペットボトルの水の入れ方や数え方、それに板書の使い方(黒板の使い方)も事前に話し合い当日に挑みました。

授業を見ながら、自分のことのようにうれしさがこみ上げてきました。
とても不思議な感じでした。
自分自身がしていなくても、自分のことのように思える感覚、喜びってとても貴重だし、これもポンペイだからこそ、味わえることなのかな?と思いました。
(もちろん日本でも感じる必要、また感じることが出来るのでしょうが)

後で小学校隊員の人からお礼のメールをもらいました。
本当に助けって出来てよかったです。

その後、話し合いでは、現地の算数専門家の先生が乗りのりで、隊員の授業について話しをしてくれて、彼が前から話をして板書きとペットボトルに力を入れておいてよかったなあと思いましたし、なにより、やはり当たり前のことですが、現地の人がいてこそのプロジェクトだと改めて思いました。
日本人だけがいくら頑張っていいものを発表してもそれは現地の人には伝わらないのだと。

話し合いでは、いい授業だった、他にはどんなことに使える?など具体的で今後につながる話が出てきました。

夜は大成功?を記念して打ち上げ。
もちろん反省点もあるので、そこは修正しながら、出来るだけ早い段階で現地の先生がワークショップをするまでになってほしいなあという意見でまとまりました。

昨日、やれば何かが残る、やらなければ後悔が残るといいました。

やって本当に良かったし、確かなものが残りました。

僕と仲のいい同期隊員でいつも言い合っている標語。「とりあえずいってみる」「迷ったらいけ」で頑張ります。
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