原題 THE SONGAMINUTE MAN
訳・浅倉卓弥
ハーパーコリンズ
2018年12月 第1刷
381頁
2016年秋、イギリスでアルツハイマーの80歳の老人がCDデビューを果たします
テッド・マクダーモットが病気を発症したのは数年前
陽気だった性格が一転して怒りっぽくなり、昼夜問わず妻に当たり散らし、ガラクタを庭に集め、実の息子・サイモンのことさえ忘れ症状は悪化の一途を辿るばかり
そんな出口の見えない日々に一筋の光をくれたのは幼い頃からテッドが愛した“歌”でした
息子サイモンがテッドの人生を綴ったノンフィクションです
大家族の長男として生れ、家計を助けるため工場で働き続けたテッド
長じて、歌の上手さを認められプロ歌手を目指しますがバンド仲間とのいざこざや何やで夢は絶たれ、結婚してからは趣味として週末にクラブで歌うのを楽しみに暮らしていました
老後は妻と穏やかに過ごせるはず…だったのですがアルツハイマーを発症してしまいます
父・テッドがCDデビューを果たした後、本を書くことを薦められたサイモン
父という人が完全に姿を消してしまう前に可能な限りその輪郭を留めておこうと、父の兄弟、親類、友人らに聞いて回り資料を集めたことで、父の人となりを知ることが出来、延いては自分自身がどこから来たどういう存在なのかを明らかにすることが出来た、とのこと
本文が大変読みやすいと思ったら訳者は浅倉卓弥さんでした^^
現実はもっともっと厳しかったと思います
サイモンもよく辛抱しましたが妻のリンダには本当に頭が下がりました
献身以上です
巻頭にテッドの両親、幼少期、青年期、壮年期、老年期
様々な写真が載っています
人生を生き老いていく1人の男性の、せめて最期は幸せであって欲しいと願います
原題の「ソングアミニットマン」とは、テッドの通称で1分に1曲の男とでもいったニュアンスで、実際に彼はリクエストを受ければどんな曲でも心を込めて歌い上げることができたそうです
では、テッド・サイモンの歌声をどうぞ♪
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