原題 Analfabeten som kunde rakna
英題 The Girl Who Saved the King of Sweden
訳・中村久里子
西村書店
2015年7月 初版第1刷発行
482頁
原題を直訳すると「読み書きのできない人は仕事ができる」ですって!
前作「窓から逃げた100歳老人」同様、史実にフィクションを織りまぜたドタバタ騒動劇
随所にブラックユーモアが光る爆笑エンターテイメント作品
主人公はアパルトヘイトの象徴といわれた南アフリカ・ソウェト地区出身の少女・ノンベコ
母親がシンナー中毒で学校にも通えず、5歳のときから糞尿運びの仕事をするという劣悪な環境で育ちます
そんなノンベコが後に地球の反対側スウェーデンに渡り、王様と首相、そして世界の危機を救うことになるのです
ソウェト地区にいた頃のノンベコは文盲の肉体労働者ですが、本来持つ天才的な数学的センスを生かし自分の人生を切り拓いていきます
偶然や幸運も手伝ってのノンベコの立身出世物語ともいえましょうか
しかし、ノンベコは運が良かっただけでも、単に頭が良かっただけでもありません
オープンで柔軟な心を持ち、相手を受容れ、常に前向きで現実的な彼女のキャラクターにより、時々に関わった人々が後の彼女の人生の転機に救世主のように働いてくれピンチをチャンスに変えていけるのです
そこには後の中国国家主席・胡錦濤もいたりして-あり得ない!-
一癖も二癖も三癖もある登場人物たちとノンベコが繰り広げる物語
痛快物語の中には、重たい政治問題、歴史問題、人種問題も出てきます-むしろこれらが重要なテーマ-
著者のとんでもない創作が盛り込まれたストーリーを通すことで、大笑いしながらも心に何かが引っかかり重いテーマについて考えるきっかけを与えてくれる点でも秀逸な一冊だと思います
次作も笑いと問題提議に満ちた作品、とのこと
楽しみです
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます