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砥上裕將「一線の湖」

2024年12月26日 | た行の作家

講談社
2023年12月 第1刷発行
349頁


主人公・青山霜介が師匠・篠田湖山の孫・千暎と湖山賞を競い合った展覧会から2年
大学3年生になった霜介は水墨画家として成長を遂げる一方、進路に悩んでいました
卒業後、水墨の世界で生きるのか、それとも別の道を見つけるのか
優柔不断な霜介とは対照的に千暎は水墨画界の若き至宝として活躍を続けています
千暎を横目に次の一歩が踏み出せず新たな表現も見つけられない現状に焦りを募らせる霜介に湖山は「しばらく筆を置きなさい」と伝えます
そんな折、体調不良の兄弟子・西濱湖峰の代役として霜介が小学校一年生を相手に水墨画を教えることに
その学校は4年前、母が交通事故死するまで教師として勤務していた学校でした
子供たち、校長先生らとの出会を通じて霜介は自分の過去と未来に向き合うことになります

墨一色に無限の色彩を映し出す水墨画を通して、霜介の葛藤と成長を描く青春小説

青山霜介=横浜流星で脳内再生しながら一気読み

水墨画に出会ったことで両親の死から立ち直れたと思っていた霜介
まだまだでした
しかし、物語が終盤に差し掛かると、様々なアクシデントに見舞われて身も心もボロボロになりながらも周囲の人々の温かい支えを受け、自分の道を見出だすことが出来るのでした
霜介はこの先も様々な試練にさらされることになるでしょう
けれど、自分は一人ではない、孤独ではないことを知った彼なら、乗り越えていけるに違いありません

水墨画が描かれる過程や、自然風景の様子など
砥上さんの文章からでもある程度は想像できますが、やはり実際にこの目で見てみたいと思いました
というわけで、本書も映画化を希望します
キャスティングは「線は、僕を描く」と全く同じで(*^^)v



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