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あさのあつこ「かんかん橋を渡ったら」

2025年01月04日 | あ行の作家


角川書店
2013年3月 初版発行
568頁

四方を中国山地に囲まれた寂れた温泉町・津雲町にかかる小さな石橋、通称『かんかん橋』
正式な名前があるのですが、渡る時に履物が当たって『かんかん』という音が鳴ることから、いつの頃からか『かんかん橋』と呼ばれるようになっています
食堂・ののやの一人娘、小学4年生の真子は毎日その橋を渡って学校に通っています
真子の小学校入学式の翌日、真子と父を残して家を出て行った母
かつて白無垢をまとい、かんかん橋を渡って嫁入りしてきた写真館の老婆
一度は北国の故郷へ戻ったものの、愛する人とともに帰ってきた踊り子
父親に反発し、高校卒業後すぐ結婚、出産するもまだ若い夫が東京へ行ってしまった女性
その女性に恋をした元ワルの青年
野球部のエースとして成長過程にある中学生

真子を中心に、津雲町で精一杯生きる人々の哀しみや喜び、逞しさを描き出します

戦中、戦後を生き抜いた写真館の老婆の過酷な人生話が最も印象的でした

真子は内気で思ったことが言葉にできないタイプなのですが、周囲を考察する力に長けていて、色々なことを考えています
物語冒頭では10歳だった真子が中学一年になるまで、周囲の大人たちの理解、無理解にもまれながら少しずつ少しずつ成長していく姿はとても頼もしく、その後が読みたいと思ったら続編「かんかん橋の向こう側」が出ているとのこと
これは是非読まなくては!


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