中央公論新社
2019年4月 初版発行
428頁
文芸誌「小説BOC」の創刊にあたり、8組の作家によって紡がれた「螺旋プロジェクト」の一作
ある“ルール”のもと、古代から未来までの日本を舞台に、ふたつの一族が対立する歴史を描きます
「シーソーモンスター」
時は20世紀後半
国内情報機関で優秀なスパイだった宮子は製薬会社営業マンの北山直人と出会い結婚
その優れた技術で姑セツともうまくやっていけるはずでしたが、どうにも相性が悪いらしく悉く対立してしまいます
ある日を境に姑に何か秘密があるのでは、と疑いを抱くようになる宮子
一方の直人も仕事上で問題に直面し対応を迫られていました
次々と周囲で起こる事件にハラハラさせられながらも宮子が大活躍するアクションシーンにワクワク
驚くことに、姑セツの昔の仕事が…
瞳が青い海族の宮子
耳が大きく尖っている山族のセツ
海族と山族は決して相容れない仲のようです
「スピンモンスター」
時は2050年
2032年の大停電により情報のアナログ化が進み、フリーで紙の手紙を届ける配達人をしている水戸直正は、北へ向かう新幹線で隣に座った男性に、旧友に手紙を届けて欲しいと頼まれます
この依頼をきっかけにとんでもない事件に巻き込まれていく水戸でした
幼い頃に車同士の衝突事故で家族を失くした水戸
相手の車に乗っていて同じように一人だけ生き残った檜山
水戸が海族で、警察官になった檜山が山族
逃れられない因縁に導かれるように2人の人生が交錯していきます
1通の手紙をきっかけに警察に追われる羽目に陥った水戸の逃避行の顛末は?
ハラハラドキドキの連続に手に汗を握る状態での読書でした
90歳になった宮子さんが元気に登場
「シーソーモンスター」との繋がりが嬉しくなりました
時代が変わっても人と人の争いは無くならない
変化がなければ進化はない
変化を起こすためには、かき混ぜる必要がある
だから、争いを起こそうとしているのではないか?
争いは、かき混ぜることにほかならない
争いは日本社会全てをコントロールしている人工知能が引き起こしているのではないか
現在でも、たやすく想像できます
人と人の争いは無くならなくても折り合いをつけて生活していくことは出来るのではないか
苦手な相手に出くわしてしまった時でも何かしら対処する方法はある
そんなことを訴える内容でもありました
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