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薬丸岳「蒼色の大地」

2024年02月28日 | や・ら・わ行の作家


中央公論新社
2019年5月 初版発行
395頁

文芸誌「小説BOC」の創刊にあたり、8組の作家によって紡がれた「螺旋プロジェクト」の一作
ある“ルール”のもと、古代から未来までの日本を舞台に、ふたつの一族が対立する歴史を描きます

時代は19世紀後半から20世紀初頭、明治時代です

かつて幼馴染だった黒い瞳の新太郎、青い瞳の灯、新太郎の妹で耳が大きい鈴
成長した三人は、それぞれの道を歩んでいました
新太郎は呉鎮守府の軍人に、灯は瀬戸内海を根城にする海賊に、そして鈴は思いを寄せる灯を探し、謎の孤島・鬼仙島に辿り着きます
海族と山族、決して交わることのない二つの血に翻弄され、やがてこの国を揺るがす争いに巻き込まれていきます

戦争を描いたものとしては物足りなかったですが、差別と偏見を乗り越えようとする登場人物たちの姿にはそれなり訴えるものがあって良かったと思います

巷の評価を読むと薬丸ファンの中には、本来の力からすれば、こんなのは…みたく厳しい意見が多いようです
自分は薬丸さんはアンソロジーで一篇読んだことがあるだけなので何とも言えませんが、海族vs山族にこだわり過ぎて書きたいものと違うものが出来上がってしまった感じがしました

「螺旋プロジェクト」も残り1冊となりました
早めに読みたいです

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