新潮文庫
2006年 4月 発行
2019年 8月 17刷
160頁
街のみんなから「トリツカレ男」という渾名呼ばれているジュゼッペ
一度何かにとりつかれると、もう他のことには一切気が向かなく、またそのとりつかれ方が普通ではありません
オペラ、三段跳び、サングラス集め、潮干狩り、刺繍、ハツカネズミetc
そんな彼が寒い国からやってきた風船売りの娘に恋をします
言葉が分からないため無口な少女の名は「ペチカ」
母親の病気や愛する男性が行方知れずで悲しみに凍り付いた彼女の心を、もてる技のすべてを使って温めようとするジュゼッペでしたが…
表紙カバーから受ける印象とはほど遠い、眩しくピュアなラブストーリーでした
ジュゼッペが過去にとりつかれたもの、過去の人脈、全てがペチカの心を解きほぐすのに役に立ちます
多趣味よりひとつのことを極めよ、とはよく言われることですがジュゼッペの場合は全てを極めていて文句のつけようもありません
少し不思議な海外の童話のような文体は小川洋子さんや川上弘美さんを思い出させます
読みやすく温かで心に沁みいる素敵な物語でした
その時は多分精神的にヤサグレていてらしく(笑)刺さらなかったなんて感想を書いていますが。。。
いしいさん、昔は良く読んだのですがね。
最近はあまり見かけなくなりましたね。
http://blog.livedoor.jp/todo_23-br/archives/28673077.html
なるほど、吉田篤弘さんにも通じるものがありますね。
読者の精神状態の影響は大きいかも。
いつになるかは分かりませんが、思い出した頃に他作品を読んでみようと思います。