とぼとぼと歩いている女の子の目の前に、見たこともない小鳥が落ちて来た。女の子は足を止めた。瑠璃色(るりいろ)をしたその小鳥は、女の子を見上げてか弱(よわ)く鳴(な)いた。
女の子は、その小鳥を家に連れ帰った。女の子は何日もかけて小鳥の世話(せわ)をした。いつしか、二人には友情(ゆうじょう)というものが芽生(めば)え始めたのか――。世話のかいあって、小鳥は元気(げんき)になって外へ飛び出していった。
また何日かして、女の子は数人の男の子に囲(かこ)まれていた。どうやら、女の子はいじめられているようだ。突然(とつぜん)、女の子の肩(かた)に小鳥がとまった。あの瑠璃色の鳥だ。小鳥は、男の子たちに飛びかかっていった。どういう訳(わけ)か、小さな小鳥が大きくなっていく。見る間(ま)に、カラスと同じ大きさになり、ついには人間(にんげん)よりも大きくなってしまった。
周(まわ)りは大騒(おおさわ)ぎになった。大人(おとな)たちは警察(けいさつ)に通報(つうほう)し、パトカーのサイレンが響(ひび)き渡(わた)った。いつの間にか、男の子たちは逃(に)げ出していた。警官(けいかん)が駆(か)けつけたときは、女の子の前に巨大(きょだい)な怪鳥(かいちょう)が――。警官たちには、怪鳥が女の子を襲(おそ)おうとしているように見えた。
警官たちは拳銃(けんじゅう)を怪鳥に向けた。そして、女の子にこっちに来るように叫(さけ)んだ。だが、女の子は怪鳥の前に立って動こうとしなかった。怪鳥がけたたましい鳴き声を発(はっ)した。驚(おどろ)いた警官たちは、怪鳥に向かって発砲(はっぽう)してしまった。
怪鳥はゆっくりと倒(たお)れ込んだ。弾(たま)が急所(きゅうしょ)に当たってしまったのだ。それと同時(どうじ)に、女の子も怪鳥の羽毛(うもう)の上に倒れた。女の子は声にならない声で、鳥に何かを伝(つた)えようとした。
<つぶやき>どこで何が起きるか…。不可思議(ふかしぎ)な世界(せかい)へ迷(まよ)い込まないように気をつけて。
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