みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1262「地球征服」

2022-06-17 17:42:06 | ブログ短編

 彼女は遠(とお)い宇宙(うちゅう)からやって来た。もちろん地球(ちきゅう)を征服(せいふく)するためだ。彼女はとある企業(きぎょう)に社員(しゃいん)としてもぐり込んだ。この企業は、地球の調査(ちょうさ)をするのに都合(つごう)がいいからだ。
 ――社員が集まる飲み会で、彼女はある男性社員から声をかけられた。
「君(きみ)って、ちょっと変わってるね。まるで宇宙人(うちゅうじん)みたいだ」
 確(たし)かに、彼女はまだ地球人の独特(どくとく)な習慣(しゅうかん)を完全(かんぜん)には理解(りかい)していなかった。そんな彼女を見て、彼は冗談半分(じょうだんはんぶん)に言っただけだったのだが…。彼女に、そんなユーモアが分かるはずもなかった。彼女は危険(きけん)を感じたのか、身体(からだ)をこわばらせた。
 彼女は、この男を始末(しまつ)すべきか考えた。しかし、彼女は思い止まった。この星(ほし)では、人間(にんげん)が突然(とつぜん)いなくなると大騒(おおさわ)ぎになることがある。もし、この男を消(け)してしまうと、社内(しゃない)が大変(たいへん)なことになるかもしれない。そうなると、地球征服の準備(じゅんび)に支障(ししょう)があるかもしれない。
 そこで彼女は、この男を近くで監視(かんし)することにした。だが、男に近づくためには――。彼女はあることに気がついた。この星では異性同士(いせいどうし)が抱(だ)きついたりする習慣がある。もし、男のパートナーになることができれば、監視もしやすくなるだろう。
 だが、彼女にとって人間の恋(こい)の駆(か)け引きは簡単(かんたん)に理解できるものではなかった。しかも、社内でこの男を狙(ねら)っている女が複数(ふくすう)いることが分かってしまった。どうやらこれは、地球征服よりも難(むずか)しいミッションになってしまうかもしれない。
<つぶやき>彼女の地球征服は成功(せいこう)するの? それとも、彼との恋が芽生(めば)えてしまうかも。
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