私は一人っ子だ
親が小さな会社を経営していた
母も経理を手伝っていたから私も学生時代から事務仕事をしていた
中高短と一貫校の女子校に通い父の知り合いの鉄工所に勤め経理をしている
学生時代からの友人が結婚することになり出席
その時に新郎がわの友人である夫と出会い互いに交際をスタートさせた
一年後に結婚した
夫の敬一は当時は35歳だったかな
私はギリギリ29歳
出来たら30歳までに結婚をしたかったのだ
長男なので将来は同居は覚悟の上だった
私の母が本来なら一人娘のあなたには婿養子を迎えるつもりだったけど仕方ないわね~~って悲しそうに言っていた
そして同じ嫁ぐなら最初から同居が良いわよとも言っていたのだ
昔から親の言うことを聞かねばと思っていたので私はその通りにしようと覚悟したのだ
夫が敷地内に別棟を建ててくれたのは本当にありがたかった
私のことを思ってくれているんだって
ご両親もまだ若くて優しく私は大丈夫だと思ったのだ
夫の姉は近くに住んでいるが仕事が忙しくあまり実家に帰ってくることはなかった
義両親も娘の子供達の世話に明け暮れている
一年くらいはなんの問題もなかったのだ
二年目に入るとすこし様子が違ってきた
跡取りの孫を強く望むようになったからだ
一時は仕事を辞めようかと思ったが家のローン等を考えるとそう簡単なことではなかった
夫の敬一もしばらくは必死で働いてお金を貯めようと言っていた
互いの実家はそんなに裕福でもない
ごく普通の経済力だ
互いの親のお金などあてにはしていないしこれからもそのつもりはなかった
私の顔を見るたびに子供の話をする姑
私もだんだんくたびれてきたのは事実だった
私が仕事をしているから我が家の事に何でも口出しをし始め、それも大きなストレスになっていった
この間は私が留守の間に家に入って洗濯物を取り込み綺麗にたたんでいた
そんな事はしなかったのだが‥……
そのつぎは夫の姉まで入り込んでいたのだ
夫に訴えたがなんの解決にもならなかった
私の我慢が足らなかったと思う
反省もした
身内の中で色々言われたが反論することはなかった
しかし、互いの家を廊下で繋ぐと言われたときに私はもう耐えられなくなっていた
私自身、良かれと思ったことが裏目裏目に出ていたこともわかった
その時はやって来た
仕事から帰宅してポストに姑からのメモが入っていた
地代を支払え‥……
私は怒りに震えた
もう、駄目だと
もう、嫌だ
実家に帰った
両親は何にも言わなかった
すぐに夫の敬一が迎えに来たが
私の決意は固かったのだ
私はなぜ結婚したのか
わからなかったし
分かるつもりもない