幸美は仕事の帰りに週に2回、職場の近くのエステに通った
いまのところ彼女にはそれか楽しみがないのである
オーナーとのお喋り
今日は楽しい一日でしたか?
そうオーナーは尋ねた
打つ向けになっている幸美は顔を横にして呟いた
大したことないわ
いつものことよ
幸美の言葉には嘘があった
転職した職場にはもう半年になるけど友人は一人もできなかった
仕事が終わると自宅に飛んで変える毎日であった
しかし
週に2回、彼女は残業を理由にして一時間近く帰宅を遅くしている
このエステでの一時を大切にしたいからなのだ
職場から直接家に帰る気にはならなかった
夫は帰宅は遅い時は多い
実家に一度立ち寄るから遅くもなる
幸美はそれが気に入らなかった
もう、晩ごはんも実家で食べてきたら良いのにって思ってしまう
しかし、家で食べるのだ
めんどくさい
そんな気持ちが心を曇らせる
幸美には趣味がある
花だった
生け花、アートフラワー
今流の洋花
習いにも行っている
子供はいないので割りと自由なのだ
姑たちも諦めていた
50近い幸美はすでに諦めている
夫は無口であった
食後はパソコンを見たりスマホを見たり自分の時間を過ごす
snsを使って楽しんでいるようだ
幸美もガラケーからスマホに変えたけど、そのとたんな嫌なものまで目にはいるようになった
見たくないと思っても気になればやっぱり見てします
夫もそうだろう
テレビで天気予報が流れていた
明日も夏日だ
幸美はため息をはいた
それを台所で水を飲んでいた夫は聞いていた
心のなかで呟いてもいた
ため息をつきたいのは俺のほうだ!