僕は僕なりの“マイ”Life

死ぬ前に読みかえして「クスッ」と笑ってみたい

第8回:中国とサービス

2014年06月28日 20時39分17秒 | 中国散歩道
HSKが終わり会場の外に出たら雨が降っていた。
あいにく傘を持っていなかったので、会場の近くにあった商店に入り傘を探した。
通常の長い傘は売られていなく、そこにあったのは折りたたみ傘だけだった。
値段はよく覚えていないが、おそらく20元程度だったと思う。
おもむろにひとつを選び服務員の女の子に手渡し、お金を支払った。
その折りたたみ傘にはプラスチックのヒモで値札が付けられていた。
すでに外は雨。そのプラスチックのヒモは手では切れそうになかったので、服務員に、すぐに使いたいので、その値札を切ってくれとお願いをした。
僕の描いた未来予想図では、彼女は引き出しからはさみ、またはカッターを取り出し、そのプラスチックのヒモを切ってくれることになっていた。
ところが。ここで予想もしないことが起こった。
彼女はごく自然な、まるで寝る前に歯を磨くくらい自然な様子で、そのプラスチックのヒモを歯で噛み切ったのだった。
起こったことは分かっても、脳が理解していないという状況というのをはじめて味わった気がした。家の玄関を開けたらそこがアフリカだったような。一体何が起こったのか分からないような瞬間。
結果からすれば何の問題もなく。プラスチックのヒモ、およびそこに付いていた値札は折りたたみ傘から切り離された。
彼女は笑顔で、その折りたたみ傘を僕に手渡した。
その自然な様子に、当然のように最高の笑顔で僕も「謝謝!」と言った。
カルチャーギャップ。
誰でもこの言葉を知っているだろうが、知っているのと経験したのでは火炎放射器と100円ライターくらいの違いがある。
そうか、これがあの有名なカルチャーギャップか。
そんなことを思いながら、20元以上の価値のあった折りたたみ傘をさし、僕は帰路についた。

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