鳩山内閣は2013年4月に後期高齢者医療制度を廃止して「新制度」に移行する方針で、厚生労働省の高齢者医療制度改革会議で検討を重ねています。同会議には四つの「新制度」案が提出されていますが、その中で、65歳以上の高齢者全員を国民健康保険(国保)に加入させる案が有力案として浮上しています。後期高齢者医療制度で国民の怒りが集中したのは、年齢で差別して別枠に囲い込んだことです。国保に加入しても別勘定であれば、高齢者差別を広げるだけです。
いわば「うばすて山」の「入山年齢」を65歳に引き下げるものです。
後期高齢者医療制度では高齢者医療を別勘定にした上で、公費負担を5割に固定して1割を高齢者の負担と決めたため、高齢者の医療費が増えれば高齢者自身の保険料が上がるようになりました。「医療費が際限なくあがる続ける痛みを後期高齢者が自分の感覚で感じとっていただく」(厚生労働省課長補佐)として、高齢者の医療費を抑制する狙いで導入された「受益者負担」の仕組みです。この仕組みを「残す」という限り、高齢者を差別して負担増を押し付ける制度にならざるをえません。
公的医療制度は本来、国と事業主の責任ですべての国民・労働者に必要な医療を保障するものです。自公政治の「受益者負担」主義を「残す」方針で制度を作れば、保険料は際限なく上昇し、お金のない人は医療を受けられなくなります。(赤旗新聞より抜粋)