私が住むマンションは、今年で15年が経過。
この度、大規模修繕工事が行われる事となった。
工期は、6月から11月までの約半年間である。
今月初めには、マンション内の一角に、現場事務所が建てられた。
6月7日
足場の組み立てが始まる。
6月8日
B棟から見たA棟の進捗状況。
こちらはB棟。
共同住宅の修繕工事。
工事現場=100世帯の住人の生活の場
である。
16時半きっかりに、現場作業は終了し、それとともに、作業の喧噪も終わる。
6月10日
我がフロアーも、足場に囲まれる。
こう囲まれてしまうと、牢屋に入れられた囚人の気分である。
囚人になった事ないけど。
気になるのは、我が家の並びに、資材運搬リフトと、
階段が設けられた件である。
と言う事は、
うちの階の修繕期間以外も、私らがテレビなどを見ている横を、作業員が登り降りなさるのだ。
うかうか鼻毛も抜けないし、オナラだって特大の一発は控えねばならぬ。
これからの半年、誠に窮屈な日々となりそうだ。
目の前のこのネットは?
ははあ。
落下防止のネットか。
ビル工事の足場の内側から、現場を覗く経験など、建設業界関係者以外、中々経験する事はなかろう。
考えようによっては、貴重な経験である。
これは?
「こんにちは~。」
目の前を、作業員の兄ちゃんが、にこやかに挨拶をしながら登っていく。
何だか面白いぞ。
だって、この前までそこは何もない空中だったのに、今、人が歩いてんだもん。
あ、そうだ、そうだ。
「ちょいと、兄ちゃん。この針金は?」
「あ、すいません。足場のヤツです。何でこんな所に・・・」
「置いてて構わんよ。」
「いえいえ、持って行きます。」
家内と二人だけの単調な生活が、俄に刺激ある物に変わってきた。
問題が一つある。
ウメである。
目の前に、見知らぬオッサンが唐突に現れ、
あまつさえ、何やら大声を上げたり、ガチャガチャと大きな音を立てるのだ。
文字通り、ウメにとっては、驚天動地の出来事に違いない。
すっかりビビってしまい、どこかに隠れてしまった。
おーい、ウメ、どこだー。
ぬ、
何やら気配が。
その毛むくじゃらは、
・・・ウメ、ここか。
フニャー
これから暫くはこんな調子だ。
慣れて貰うしかないぞ。
それと、ベランダの散歩も中止だ。
ウメなら、ベランダから足場に飛び移るなんて朝飯前である。
そうなっては、万事休すだ。
分かったな。
『・・・やだ』(ウメ)