夏のバカ!
と、
いきなり悪態から始めてみる。
またしても久留米の気温が、国内最高をマークした。
亜熱帯とも言える久留米に生まれ育った私だが、皮肉にも、極端な暑がりときている。
夏ともなれば、冒頭のように、口汚く暑さを呪う言葉ばかり吐いてきた。
そんな私が、こんな所にいる。
英彦山である。
これから、猛暑の中、山登りである。
ナメクジ並みに暑さに弱い私にとって、狂気の沙汰としか言い様はない。
山登りの目的は、大山蓮華と英彦山姫沙羅。
花の開花は、久留米の暑がりなんぞに、斟酌はしてくれないのだ。
つい最近も、英彦山に登ったばかりだが、あれは偵察と行ったところ。
今回が本番である。
ルートは、別所駐車場から豊前坊~北岳~中岳を目指す。
下山は歩荷道を降り、奉幣殿から別所駐車場の予定である。
豊前坊。
ここから本格的な登りが始まる。
急登に喘ぎながら、ひたすら登る。
「俺・・・バテるかもしれん。」
早くも敗北宣言である。
溶岩の壁到着。
最初の目的、大山蓮華は・・・
「結構、咲いとるぞ。」(私)
「おお。」(家内)
森の貴婦人は、溶岩の壁に守られるように、ひっそりと咲いていた。
まだまだ続く急登。
ナメクジ男消滅の危機である。
「少し早かバッテン、木段登った先で、飯にすっぞ。」
「おっちゃん、ご飯食べた途端に、元気になるもんね。」
昼飯を食い終われば、すぐに山歩き開始だ。
北岳通過。
尾根道を中岳へ。
登り返しの岩場に咲くドウダンツツジ。
中岳到着。
この山の固有種、英彦山姫沙羅は咲いてるかな?
咲いてる、咲いてる。
ワンポイントの薄紅。
ほんの数輪だが、可憐な姿を見ることが出来た。
さて、下山である。
「この先に、ツルアジサイが見えるポイントがあった筈やけど。」(家内)
「本当か?そんな所あったっけ。」(私)
「あった!」
ヤツは極端な方向音痴だ。
目的地への目標物は一切憶えられないくせに、こんなポイントだけはよく憶えている。
だが、今ここでそれをツッコんではいけない。
バテすぎて、反撃されたらひとたまりも無いからだ。
ツルアジサイポイントを過ぎたら、すぐに行者堂である。
大山蓮華は、
ほら咲いてた。
純白のドレスを身に纏った貴婦人。
辺りに、エレガントな香りを漂わせる。
歩荷道。
出た、クリンパ。
ヘロヘロになりながらも、何とか奉幣殿に到着。
ここは英彦山姫沙羅だ。
「ワンポイントって所がお洒落よね。」(家内)
「ハラホロヒレハレ」(私)
この石段を降りれば、駐車場はすぐそこだ。
駐車場に戻ると、名物の焼餅の屋台が。
「おばちゃん、焼餅頂戴!」
クーラーが効いた車内で、暖かい焼餅を食らう。
ふー、
生き返ったぜ。
・・・夏のバカ。