「絶対来るなよ。」
ヤツはそう言い残して、家を出て行った。
少し説明しておきたい。
家内は今年の初めから、久留米図書館で行われる『読み聞かせボランティア』に参加している。
読み聞かせという言葉から察するに、要するに、子供たちの前で、絵本などを読んで聞かせているのだろう。
どのくらいの人数で、どんな環境で、どんな子供たちが来ていて、
そして、ちゃんと読み聞かせになっているのか等の詳細は、
ヤツが頑として口を割らないので、皆目解らぬ。
とは言え、
ボランティアの日になると、いそいそと出かけている所を見ると、ちゃんと聞いてはくれているようだ。
もしかしたら、子供らが煙に巻かれているだけかも知れないが。
今日は、その読み聞かせ会のクリスマス会。
驚くべきことに、ヤツは司会の大役を仰せつかっているらしい。
今月に入ってからは、
「くじゅうに霧氷ば見に行こうか。」(私)
「行かん!色々と準備がある。それどころじゃなか!」(家内)
ピリピリモードである。
そして今日、冒頭のあの言葉が発せられたと言う訳だ。
こっそり図書館まで様子を見に行き、動画の一つも撮って、ヤツをゆするネタにしてやろうかとも思うが、
ヤツの事だ。
図書館職員に、こんなオヤジが来たら取り押さえる様、予め手を回している可能性も無きにしも非ずだ。
今日の所は、見逃してやる事にした。
いずれにせよ、もこの体調も今一つだ。
もこを置いて出掛ける訳にもいかぬ。
こんな日は、ビデオなどを見ながら、まったりと過ごすに如くはない。
窓辺に目をやる。
ったく、誰の手形、、、いや足形だ。
それにしても窓ガラス、汚れてんなあ。
と、
大掃除の季節が近づいてきた事を知る、日曜の窓辺であった。
そろそろクリスマス会、始まったかな。