湿原からの帰路
私達が目指したのは、コアジサシの営巣地である。
当然ながら入場禁止だが、一箇所だけ、フェンス越しに観察出来るようになっている。
望遠のファインダーを覗いて・・・
いるかな。
いたいた。
煉瓦の隙間に、雛が何羽か隠れてるよ。
フェンスに何やら書かれた板が括り付けられている。
そこには書かれていたのは・・・
5月の初めに、およそ200羽のカラスが襲来。
抱卵中の卵に、壊滅的な被害が出た。
よって、カラスの死骸を吊るすと言う、かなりショッキングなカラス対策をしている。
そのことについて、どうか理解してほしいと言う旨が書かれている。
まったくカラスってヤツは。
想像しただけで、胸が締め付けられる。
餌場から戻ってきた親鳥。
雛に餌を与えたら、また餌場へと飛び立つ。
生き残った大事な大事な雛たち。
懸命の子育てだ。
丁度雛に餌を与えているところ。
とは言え、親鳥の口の中には、小魚一匹だけ。
当然、口にできるのはどちらか片方だけになる。
少しズームしよう。
兄弟で大きさに随分と差がある。
小さい方は、あんまりありつけてはいないのではなかろうか。
自然界で生きていく事の厳しさを、ファインダー越しに垣間見る。
ここにも数羽の雛がいる。
こちらはコチドリ。
何故かコアジサシと相性が良いようで、同じエリアで仲良く子育て中だ。
いたいた。
可愛かァ。
心配そうに見つめる先にいるのは、
よちよち歩きの雛である。
我が子を見守る親鳥の心情が、見ている私らにも伝わってくる。
今のところカラス対策は功を奏しているとの事。
巣立ちの日まで、全ての雛が、
「健やかで有れかし!」
そう願うばかりだ。
早く大きくなれ!