猫タワーに寝そべりながら、ウメが見ている世界は、
一面の銀世界である。
雪に弱い土地柄だ。
こんな積雪でも、目の前を走る国道は、機能不全に陥っている。
「あーあ。こりゃ、みんな遅刻やな。」
現役の頃、
積雪のため遅れて出社して来た社員に対し、
「遅い!、雪が積もる事やら、前の日から分かっとる。一時間前に起きれば済むじゃろが。こんバカちんが!」
なんて、
自分が一番近い所に住んでる事は棚に上げて、社員を怒鳴っていたものだ。
ただ、これには理由があるのだ。
と言うのも、
積雪
↓
路面凍結
↓
スリップ事故多発
↓
ジャンジャン修理依頼の電話が掛かる
↓
我が社、超忙しくなる
↓
私、喜ぶ
と言う人でなし図式があるのだ。
因みに、これは台風時にも当てはまる。
そんな事を懐かしみながら外を眺めていると、
「あー、ハイハイ。分かりました。わざわざどうも有難うございます。」
家内が電話に向かって、お辞儀を繰り返している。
聞けば、予約していた歯科医院の受付嬢からの電話らしく、
この積雪のため、休診にしたとの由。
「受付の子も、自宅から電話をかけてるんだって。」
大雪が降れば、にんまりとほくそ笑む私と、
顧客と職員の安全を第一に考え、いち早く休診を決定する歯科医。
大した違いである。