日帰りバスツアーのパンフレット手に持った家内。
「これ、行く?」(家内)
「ツアー?やなこった。真っ平だ。」(私)
好きな場所に、好きな時間だけ。
予定変更など日常茶飯事。
自由気ままが、私の旅の基本だ。
速攻で家内の提案を断るも、
「よく見てんねって。」
渋々、ヤツが差し出すパンフレットを見ると、
そこには、
【料理長こだわりの国産天然鯛会席と島原鉄道幸せの黄色い列車】
とやたらと長いツアー名が記されている。
「何々、天然鯛、、、島原鉄道、、、、行く!」
てな訳で、日曜日早朝7時45分。
バスツアーの始まりである。
添乗員は、マイクを持つなり、
「トイレは荒尾の長州港までご辛抱下さーい。」
そう言われると、いきなりオシッコしたくなってきたぜ。
これだからツアーって嫌いなんだよ。
幸いにも粗相する事もなく、無事に長州港到着。
島原半島へ45分間の船旅である。
多比良港に到着したら、再びバスに乗り込み最初の目的地へ。
このツアーの主題の一つ、島原鉄道大三東(おおみさき)駅である。
日本一海に近い駅と言われ、所謂『映える』駅なんだそうだ。
願い事が書かれた幸せの黄色いハンカチが、海風に揺れている。
屋根も柵もないホーム。
すぐ後ろは有明海である。
黄色い車両がホームに滑り込んできた。
これから乗り込む車両は、一両編成自由席のみ。
普通の通勤列車である。
我々ツアー客は、一般利用客の間に腰掛け、この幸せの黄色い列車に揺られていく。
島原駅に停車していたカフェトレイン。
どうせなら、これが良かったなあ。
終点島原港駅で下車。
再びバス移動である。
雲仙普賢岳を横目に見て、バスは進む。
さて、昼食である。
舞台の上で、すっくと屹立するこのお方こそ、このツアーのもう一つの主題、
国産天然鯛様である。
「お待たせしました。」
ピンク色に輝く刺身が、今、取り分けられて運ばれてきた。
他にも、
鯛のかぶと煮、鯛のカルパッチョ、鯛の漬け、鯛ご飯etc。
これでもかの鯛づくしである。
中でもやはりこれだろう。
アーーン
恐れ多くも、有明海の天然鯛様なのだ。
プリップリの噛み応えに、鯛らしい旨味が追いかけ・・・
あーー、もう辛抱できん。
「オネエサン、生頂戴!!」
バスに揺られている間のトイレの心配など、知ったこっちゃねえ。
これだけは、自分でハンドルを握ってちゃ出来ないもんね。
移動。
小浜温泉。
添乗員の掲げる旗の後ろに着いていく私達。
誠に正しいツアー風景である。
この並木道は、ジャカランダ通りというのだそうだ。
青い花が見頃となっている。
ジャカランダ並木を歩いた後は、時間まで自由行動である。
私達は土産物屋などには目もくれず、あるパン屋を目指す。
目当ては、以前、長崎の義兄から教えて貰った、温泉水を練り込んだと言うアンパン。
売り切れ必至の温泉あんぱんだが・・・
4個ゲットーー
ほっとふっと105。
小浜温泉の源泉105度にちなみ作られた日本一長い足湯。
当然105mである。
移動。
最後の立ち寄り地、神代小路。
『こうじろくうじ』と読む。
重要伝統的建造物群保存地区となっている。
島原のこんな所に、佐賀鍋島藩の飛び地があったとは。
石垣や道幅は当時のままなんだそうだ。
鍋島陣屋。
つい最近まで、神代鍋島家当主が住まわれていたとの事。
重要文化財。
唐破風造りの玄関。
高台から。
「そろそろ発車の時間よ。バスに戻らんと。」
「お、おう。」
ドタバタドタバタ
げにもツアーとはせわしない。