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Tシャツとサンダルの候

私が死んだら・・・


ウメはカラーもとれて、食欲も戻りつつある。

ウメの手術以来自粛していた、二人しての外出を解禁しよう。


「ラーメン食べに行くぞ。」


昔ながらの久留米ラーメンを食べたいならここである。



ガラガラガラ

店内に入った途端、トンコツの素敵な香りが、私達を優しく包む込む。

壁には【当店は替え玉はありません】の張り紙。

痛快じゃないか。

久留米ラーメンを知らない近頃の世代への、痛烈なメッセージだ。

本来、久留米ラーメンに替え玉も、麺の茹で方指定などあるもんか。

店主の主張は、まことに正しい。


「焼き飯でーす。」


パラパラ?

そりゃ何のこつな?

そんな店主の声が聞こえてきそうな焼き飯が、目の前に置かれた。


続いて、

「肉炒めでーす。」


肉炒めと聞けばゴージャスな感じだが、ここでは肉入りの野菜炒めをそう言う。


そして、


「ラーメンでーす。」


真打ち登場である。

言っておくが、器はなるべく触らないようにしよう。

溢れんばかりに注がれたスープは、運ばれてくる間に、器の側面を華麗にコーティングしているからだ。


通常、紅ショウガはテーブルに置かれ、乗せたい客は、好みの量を乗せる。

そんな事など知らぬげに、ここでは、最初から強制的に乗せられている。


『ガタガタ言わずに食え!』


そんな姿勢も痛快である。


では、ガタガタ言わずに頂きます。


ズズズ


これぞ久留米ラーメン。

強烈なトンコツの風味が堪らない一品だ。



家族に言い残しておく。

私が死んだら、

防水仕様の棺桶にして、中をこのスープで満たし、私の亡骸を沈めて欲しい。

勿論、紅ショウガも忘れずに。


焼き飯も肉炒めも、ぜーんぶ、、、言うこと無しの旨さである。



ご馳走様でした。

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