大行司駅のホームに一人立ち、日田彦山線の変遷に思いを致し、
ふと我が人生の来し方を思っ・・・・・・たりする訳もなく、
私の思考は『日田焼きそば』で占められた。
矢も盾もたまらず、スマホを取り出し店舗検索。
選んだ店はこんな狭い路地裏にあった。
突き当たり右側、【三久】だ。
この環境を見た時点で期待大である。
暖簾をくぐると既に満席状態。
幸いなことに、一席だけカウンターが空いている。
「ここ、いいかな?」
「はい、よかすよ。どうぞー。」
うあっと、びっくりしたあ。
何故か眼の前に、どーんと商品サンプルが。
お箸、目に突き刺さるかと思ったぜ。
「お冷やはセルフなんで、すんましぇん。」
「お、そうかい。」
「そんで、ご注文はお決まりすか?」
「生玉子入り焼きそばってのを貰おうか。」
「えっとですね。次の次の次になるばってん、よかすか?」
店に入った瞬間、待つ覚悟は出来てるさ。
かまうこたねえ。念入りに焼いてくんな。
このニイチャン。
私が小用に立ち上がると、すかさず、
「今、入られとるっす。」
ならばと席でスマホをいじって待ってると、わざわざ席までやって来て、
「空きました。どうぞっす。」
まことに親切である。
10分程経った頃、
「先にスープっす。」
来たか。
隣の席を横目で見ていると、これが置かれて約7分で焼きそばが運ばれて来た。
要するにあと7分程で、日田焼きそばにありつける訳だ。
読み通り7分、
「焼きそば生玉子入りっす。」
真打ち登場だ。
断っておく。
黒い粒々が見えるが、これはこの店本来の姿ではない。
私が胡椒を大量に振りかけたせいだ。
店の与り知るところではない。
では、
卵を潰す前にオリジナルで。
モグモグ
カチカチに焼かれた麺と複雑なソースの味。
これぞ日田焼きそばだ。
二箸目からは卵を潰して。
グジュグジュかき混ぜて、
ズル、、、ズルルー
パキポキ(麺を噛む音)
この日の昼飯に、日田焼きそばを選んだ自分を褒めてやりたい。
食べ終われば、ぐいっとコップの水を飲み干しレジへ。
例のニイチャン、レジを打ちながら、
「お客さん、どちらからすか?」
「久留米よ。」
「マジッスか。自分も久留米で、」
「え、久留米人か!」
「自分も久留米で、遊んだりしとるっす。」
・・・その情報要らない。