前回の投稿から、
時間の針を、火野葦平旧居を辞する場面まで巻き戻す。
丁度昼時。
玄関で靴を履きながら、ふと、ご主人に聞いてみた。
「これから昼飯食べたかバッテン、近くに大衆食堂系の店ってありますか?」
「ラーメンはどげんですか?」
「あ、よかですね。お勧めはどこです?」
「そりゃあなた、馬賊ですよ。豚骨ラーメンがよかです。」
「バゾク?」
すると、横で聞いていた奥様も参戦。
「豚骨もよかけど、鶏そばもありますよ。これがあーた、美味しくてですね。」
「えーー!」
それ言うたら駄目ですって。
悩むじゃないすか。
うーむ。
二つとも食べられる胃袋は持ち合わせていないし。
二者択一か。
「とにかく、その馬賊に行ってきます。有り難うございました。」
いかん。
店選びの経緯だけで、グダグダと行を重ねてしまった。
とっとと先へ進もう。
ラーメン専門店馬賊。
恐ろしげな名前の割には、可愛らしいピンクの外観だ。
とにかく店に入ろう。
「らっしゃーい。」
店内は既に満席だったが、殆ど待たされる事なく、席に案内された。
メニューを見るふりをして、聞き耳を立てる私。
注文状況の調査である。
結果、馬賊ラーメン(トンコツ)と鶏そばが半々と言ったところだ。
こりゃいかん。
余計、決断出来んじゃないか。
よし、ここは賭けだ。
自分の勘を信じて、
「すんませーん!」
「へーい。」
鶏そばのAセットである。
透明スープの美しい景観を、背脂が崩してしまっているのが残念だが、
立ち上る香りは、鶏ガラ真っ向勝負である。
トッピングは、煮卵にメンマ、叉焼代わりの割いた鶏肉。
では、
ズルズルズル
やや太めの縮れ麺に、外連味のない鶏ガラスープがよく絡まる。
細かく割かれた鶏肉も、意外と良いアクセントになっている。
鶏そば大正解!
火野葦平旧居の奥さん、横からのご助言、有り難う!
「お待たせしました。餃子でーす。」
おやまあ。
これは蝶々ですか?
羽、つけすぎ!
でもまあ、美味しかったけどね。
ご馳走様。