山登りの日の朝は早い。
当然、早い時間から腹が減ってくる。
さりとて、こんな状況下では、今頃避難小屋は満員だろう。
ここは、胃袋には辛抱して貰い、大急ぎで下山しよう。
ドピューーーン
昼ちょっと過ぎ、牧ノ戸峠に到着。
やっと食える。
いや、
ちょっと待てよ。
車の中でカップ麺?
胃袋君には、もう少し我慢して貰おうじゃないか。
長者原まで降りて、レストハウスのチキンカツがいい。
あのダブルチキンカツなら、胃袋君は大喜びするに違いない。
この判断が後に・・・・
ブイーーーン
長者原到着。
(*゚ロ゚)
り、臨時休業だとー。
胃袋君、遂に堪忍袋の緒が切れた。
激怒である。
も、もう、猶予はならぬ。
怒濤のごとく、もう一軒の食事処ヘルスセンターに突進するも、
同じく・・・臨時休業。
ヘナヘナヘナヘナ
冒頭から長くなった。
要するに、九重の山の中で、昼飯難民となってしまったのだ。
次に一番近い所と言えば、初めて訪れるここ、野の花の郷だ。
開いてる!!
【営業中】の看板が燦然と輝いている。
思わず玄関先に正座し、雪の地べたに手をついて、頭を下げる私である。
嘘だ。
「お待たせしました。」
ここに至ってもまだ、長者原のチキンカツが頭から離れられないらしい。
注文の品は、とり天である。
良い眺めである。
おっと、見とれている場合じゃない。
さっきから、胃袋が矢の催促だ。
酢醤油にくぐらせ、同時に辛子をちょいと、
パク
こ、これは、
さぞ名のあるとり天と見た。
衣はカリッカリ。
お肉はしっとり、プリップリだ。
あの長者原の連続臨時休業の試練は、このとり天と出会う為の、神の思し召しだったのだ。
今や、胃袋君のご機嫌も、殊の外麗しい。
食後、山野草の温室を見せて貰った。
「冬だから、全部枯れた状態ですよ。」
「構いません。どんなのがあるか見るだけですから。」
ガラガラガラ
フニャー
おっとごめんよ。
昼寝の邪魔したか。
ここは暖かいからな。
トリカブトに翁草、ホタルブクロに、スズラン、ショウジョウバカマね。
ふーん。
ミヤマキリシマなんてのもある。
こんなのまで。
何はともあれ、
ご馳走様でした。