どうにもこうにも南阿蘇が好きである。
先日もまた、南阿蘇へと車を走らせた。
益城町から西原村に差し掛かる頃、
「ほら。そこから右に行ったら、布田川断層帯だって。」
「震災遺構か。これって、見たかった所やぞ。寄り道しよっと。」
ブイイイイーーン
布田川断層帯 堂園地区。
一見、ありふれた田園風景だが、どこか違和感があるのが分かるだろうか。
田んぼの畦道がずれている。
断層の横ずれである。
この地区の横ずれは、熊本地震最大変位置2.5mを観測している。
別の震災遺構へ。
杉堂地区
確か、神社がある筈だが・・・
工事現場の作業員に聞いてみた。
「神社?ほらそこ。すぐ上たい。」
「もしかして、この法面の崩落も震災の?」
「そうそう。震災で崩れてね。」
そう言いながら、親切にも神社まで案内してくれた。
潮井神社。
お社は水源の真上に建てられている。
「水が湧くちゅう事は、活断層がそこにあるっちゅう事ですたい。」
「なるほど。」
説明板には、震災時、ここでどのように断層がずれたのかが書かれている。
木っ端微塵である。
自然のエネルギーとは、げにも凄まじい。
「崖の下からも水が吹き出よっでしょうが。あれが水脈ですたい。」
「あー、はいはい。」
水脈のラインが、そのまま湧水池に繋がっている。
このまま教材にしたいぐらいである。
俵山方面へと移動。
俵山交流館萌の里コスモス園。
残念ながら台風の影響でか、殆どが倒れてしまっていた。
まあ、仕方なかんべ。
昼時となった。
どこかで飯でも食おう。
「鶏そばでーす。」
「あのね....」
前から気になっている事を尋ねてみた。
前回、ビジターセンターの職員から聞いていた、赤ソバ畑である。
湧水トンネルのすぐ近くらしい。
結局その時は場所が分からず、むなしく通過したのみだった。
「湧水トンネル近くに、赤い花の蕎麦畑があるって聞いたけど?」
「赤い蕎麦ですか?いや、知らんですね。ちょっと聞いてきます。」
「もしもし、あのー、湧水トンネル・・・」
厨房から、電話をかけているオバサンの声が聞こえてきた。
それも数カ所だ。
ありゃー、そこまでして貰わなくてもよかったのに。
「すんまっしぇん。ハッキリした事は誰も知らんですね。」
「ごめん、ごめん。忙しいのに悪かったね。有り難う。」
恐縮しきりで店を出た。
そんな訳で、湧水トンネルである。
昭和50年2月。
高森・高千穂間の鉄道施設の為、トンネルを掘り進めるも、大量取水のため頓挫。
その後、計画自体が廃止となり、公園となったとの事。
トンネル内は、クーラーが効いたような涼しさである。
それもその筈。
通路中央には、鉄道施設を断念させた湧水が、今も滔々と流れている。
トンネル内は光のオブジェで彩られる。
両壁が鏡になっていて、無限に反射を繰り返す青色の光。
断っておく。
人影が二つ映り込んでいるが、あれは地縛霊ではない。
終点まで来た。
ストロボの効果により、流水が球体に見えている。
更には、どんな手を使っているのか、球体が止まって見えたり、逆流しているように見えたり。
誠に摩訶不思議である。
トンネルを出たら、偶然にもトロッコ列車が通過。
「これ、乗りたいんだよな。」
「私、乗ったー。」
「グググ」
「あ、そこに赤ソバの畑あるやん。」
赤ソバが植えられているのはひと畝だけの畑である。
「断じてこれは違う!」
湧水公園入口の雑貨屋さんに訊いてみても、結局赤ソバ畑は分からずじまい。
来年への宿題である。
帰り道。
割と広めの蕎麦畑発見。
この蕎麦の花は、一見白く見えるが実は赤色である。
摩訶不思議なストロボのせいで、錯覚しているだけなのだ。
「・・・ここだ。」
「アホ。」